さあ、いよいよ公開されている007シリーズとしては、最新のところまで辿り着きました。
DVDで所有していたのは前作まででしたので、これは、Amazon プライムのオンデマンドで、300円の視聴料を払って鑑賞。
その名も「スペクター」。
オールドファンにとっては、懐かしい名前です。
僕が一番最初に見た007映画は、7作目の「ダイヤモンドは永遠に」。
この作品には、ボンドの宿敵として、スペクターが登場していましたし、ブロフェルドももちろんです。
そこから遡って、ション・コネリーの007を見ていきましたので、MI6とボンドが戦う敵の組織は、スペクター(もしくは、スメルッシュ)なんだと刷り込まれていました。
今回、若い頃に見ていないボンドシリーズを、8作目の「死ぬのは奴らだ」から続けて見てきましたが、7作目以降は、「ユア・アイズ・オンリー」の冒頭シークエンスで、ブロフェルドと思しき人物と、ヘリコプターで決闘するシーンがあったのみで、スペクターの名前は、本作に至るまで、シリーズからは忽然と姿を消していました。
これもまた権利の問題が絡んでいたようです。
それも一件落着して、晴れて堂々と映画のタイトルとなって復活したスペクター。
シリーズは、すでにリブートしておりますので、本作では、ボンドの幼少時代と絡めて、新たなスペクターを創造しています。
まずは、ダニエル・クレイグになってからの、これまでの3作品で戦った相手は、すべてスペクターの一員だったという設定にして、ストーリーをすべて回収。
この作品で、一連の連続したシリーズとして、まとめ上げています。
これに伴い、従来のボンド・シリーズのお約束も、続々と復活。
ピアーズ・ブロスナンの最終作「ダイ・アナザー・デイ」までは定番だった、オープニングのガンバレル・シーンも本作で復活。
シリーズの決め台詞だった「ボンド。ジェームズ・ボンド」も、4作目にして、ダニエル・クレイグが初めて口にしましたね。
ボンド・カーも秘密兵器満載でで登場。ダニエル・クレイグも、今回は、しっかりと使用していました。
監督は、前作に引き続いてサム・メンデス監督。
この人、長回しが好きな監督で、去年公開の「1917」は、全編ワンカットで撮影した作品。
それよりも前に撮った本作でも、やっていました。
冒頭のシークエンスです。
メキシコの「死者の日」のお祭りのシーンから、女とホテルの部屋に入り、屋根をつたい、狙うスキアラの部屋に銃を向けるまでの、5分近くがワンカット撮影。
1958年にオーソン・ウェルズが監督した「黒い罠」の冒頭を彷彿させるような緊張感あるシーンになっていました。
守備よくスキアラを仕留め、その指から指輪を抜き取ると、その指輪には、あのスペクターのタコのデザインが・・
このメキシコのミッションは、前作で殉職したMからの最後の指示でした。
これをMI6に報告せずに、単独で行動したため、ボンドは、後任のM(演じているのは、レイフ・ファンズ)から停職命令。
しかし、ボンドはそれも聞かず、ミス・マニーペニーの協力も得て、Qの最新装備のボンドカーを無断で持ち出すと、スキアラの葬儀に参列。
未亡人となった(というかボンドがしてしまった)ルチアに接近します。
このルチアを演じるのが、モニカ・ベルッチでした。
ここしばらくのボンド映画では、ボンド・ガールを演じた女優のほとんどは、知らない名前ばかりでしたが、この人は知っていました。
その美貌とナイスバディで、「イタリアの宝石」と言われていた人です。
ん? しかし待てよ。
僕が、「マレーナ」や「アレックス」をみたのは、かれこれ20年も前だぞ。
彼女はいったい、この時何歳なんだ。
ちょっと気になったので、Wiki してみましたら、1964年生まれの彼女は、この映画の撮影時には、なんと51 歳です。
これはちょっとスゴイ。「ゴールド・フィンガー」に出演したオナー・ブラックマンが撮影時39歳でしたから、これは大幅記録更新でしょう。
もちろん、本作でもその美貌はまだまだ健在で、堂々とボンドとラブ・シーンを演じていました。若いボンド・ガールと遜色なし。いやあ、さすがです。
しかし、どうせなら、もっと若い時の彼女にオファーしてほしかったなあ。
さて、ルチアからの情報をもとに、ボンドは組織の秘密会議に侵入。
そして、その組織の首領フランツ・オーベルハウザーの存在を知りますが、なぜかオーベルハウザーは、ボンドの存在をすでに知っていました。
逃げ出したボンドはカーチェイスの末、5億円のボンドガー(Qのセリフ)を、テームズ川に沈めて、次の手がかりを求めてオーストリアの渓谷の村へ。
その廃墟のような小屋にいた男は、前々作で、対峙したミスター・ホワイト。
彼も組織の一員でしたが、トラブルを起こし、オーベルハウザーに廃人同様にされていました。
ボンドは、娘の命を助けることと引き換えに、次の手かがりを聞き出しますが、直後にホワイトはピストルで自害します。
その頃ロンドンでは、MI5のCが、00セクションとMI6を、今の時代にはそぐわない前時代の遺物として、その機能を停止して吸収しようと画策していました。
Cは、情報こそこれからの覇権を握る鍵として、MI6のメンバーのプライベートまで、その監視下に置いていました。
オーストリア山岳地帯の医療施設に勤務しているホワイトの娘マドレーヌにボンドは、患者を装って接近。
マドレーヌを演じるのは、レア・セドゥ。
Wiki を見る限りは、とんでもない名家のお嬢様です。
襲いかかってくる敵から、ホワイトとの約束を守って、体を張って彼女を守るボンド。
マドレーヌは、その組織が、スペクターであることを、ボンドに告げます。
スペクターの45年ぶり復活です。
数々の死地をくぐり抜けるうちに、いつもの「吊橋効果」で、いつしか愛し合うようになる二人。
ボンドとマドレーヌは、特急列車での敵の刺客との決戦(「ロシアより愛をこめて」でのグラントとの対決みたいでしたな)を経て、スペクターの基地がある、北アフリカの砂漠に向かいます。
不敵な笑みを浮かべながら、二人を招き入れる敵の首領オーベルハイザー。
スペクターの基地は、全世界からの情報を集中管理する監視要塞でした。
そこで、二人は、MI6の解散をスタッフに告げるMや、ホワイトが、ボンドの前で自害するシーンの映像を見せられます。
また、MI5のCと手を組んで、世界各国のトップシークレットを共有する「ナインアイ」プランの実現化を進めていることも明らかになります。
情報を制するものが、世界の利権を制する。
これが新しい時代のスペクターでした。
そして、オーベルハウザーが、実は自分はボンドの義理の兄で、ボンドへの嫉妬から、父親を殺したこと、そして別の名をエルンスト・スタヴロ・ブロフェルドであることも明らかになります。
さあ、これで、スペクターとブロフェルドが出揃いました。
すべての秘密を知ったボンドを、オーベルハウザーは、直接脳に針を刺す拷問で廃人にしようとしますが、Qに支給されていた小道具と、マドレーヌの機転により二人は窮地を脱出。
スペクターの基地を粉微塵に破壊して、ロンドンに戻ります。
ロンドンは、今まさに、ナインアイ計画が、起動しようとしている寸前で・・・
シリーズの構成としては、ダニエル・クレイグの登場で、リブートされた007シリーズは、ジェームズ・ボンド誕生物語としてストーリーが展開し、ここまでの4作をかけて、やっと本来のジェームズ・ボンドのフォーマットに戻って、シリーズ第1作へと繋がっているような印象を持ちました。
ラストで、瀕死の状態のオーベルハウザーの前に立ちはだかったボンドは、とどめをさしません。
「俺には、もっと大事なことがある」と言って、マドレーヌと手を繋いで去って行きます。
次回作「ノー・タイム・トゥ・ダイ」のWiki を見ると、オーベルハウザーを演じたクリストフ・ヴァルツも、マドレーヌを演じたレア・セドゥも引き続きクレジットされているようですので、悪の組織スペクターは、以降のボンド・シリーズでも、ボンドの宿敵として立ちはだかる展開が予想されますね。
ダニエル・クレイグは、すでに次回作品での降板が決定しています。
この後、何人のジェームズ・ボンドと付き合えるのかわかりませんが、映画史上空前の大ヒットシリーズとなった007は、10代の少年だった自分も、還暦を超えた60代の自分も、同じようにワクワクさせてくれる魅力に溢れていることを、改めて再確認。
ジェームズ・ボンドは、やはりカッコイイ!
コロナの騒動で公開が延期されていた次回作は、いよいよ来年公開。
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