この方の描いた映画のポスターが好きで、部屋中のあちこちに貼りまくっています。
すでに、同名タイトルの本は一冊持っていたのですが、それは1984年度版。
川越市立図書館で、見つけた本書は、表紙は違いますし、中身も見たことのないポスターがチラホラある2000年度版。
早速借りてまいりました。
野口久光という方は、映画のプロデュースをしたり、音楽評論もやる方で、かなり文化的な方なのですが、戦前から戦後にかけて、1000点以上もの映画ポスターを手掛けたことでつとに有名な人です。
一番新しいところでは、大林宣彦監督の「青春デンデケデン」や「はるか、ノスタルジィ」まで手がけています。
もちろん、その全てが「手描き」。
映画のもつテーマや、奥底に流れる心象風景を筆一本で表現する画力。
それはもうコマーシャルを遥かに超えて、立派にアートとして独立させていい作品群です。
フランソワーズ・トリュフォーは、野口氏の描いた「大人は判ってくれない」のポスターを絶賛し、その原画を譲り受け、自分の事務所に飾って、いつも眺めていたといいます。
ポスターですから、もちろんそこには、キャストやスタッフのクレジット、観客を呼び込むための扇情的なキャッチ・コピーも含まれています。
これがあると、なかなかアートという感じがしなくなりますが、そり代わり、そこに込められた熱量のようなものが感じられて、個人的にはワクワクします。
インターネットもテレビもなかった頃は、街角に貼られたこのポスター一枚で、お客を映画館まで呼び込んだのですから、とにかくパワーがあります。
ロートレックの作品も、絵画としての作品よりも、「ムーラン・ルージュ」のポスターとして手がけた作品の方が断然好きですね。
完全なる、ポスター・フェチです。
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