憲法改正についてちょっと真面目に考えてみた

 

🔹　はじめに

 

権力というものは、麻薬と同じです。

 

それを一度手に入れてしまった者は、二度と手放したくないという思いに駆られるようになります。

例え、どんなに人格者であろうと、権力者になり、その甘い蜜の味を知ってしまったものは、その特権を永遠に手中にしておきたいがために、悪魔にさえ魂を売り渡すようになります。

いい悪いではなく、これは人間の本能に根ざすものかもしれません。

 

かつて絶対王政華やかしころのヨーロッパでは、すべての国家権力を掌握した国王たちによる人治政治が支配していました。

フランスのルイ14世が、「朕は国家なり」といったことに象徴されるように、一人の権力者の意向が、国民の生命をも支配していた時代が続いていたわけです。

そんな支配者の恣意的な行動を制限するために、支配者が法律に従うことが近代国家の基本とされるようになり、法律の重要性が高まりました。

 

法治主義の基本理念は、古代ギリシャや古代ローマ時代から存在しています。

しかし、それが世界史の大きなうねりになったのは、フランス革命やアメリカ独立革命以降のことでしょう。

これらの革命は、市民が自由や平等を求める運動であり、これらの革命によって法の支配の重要性は一層高まりました。

特に、フランス革命では、人民主権や法の支配を掲げた「人民の憲章」が制定され、それまでの人治主義から、法治主義による国家運営に一気に舵が切られるようになったわけです。

 

では憲法とは何か❓

 

全ての法律の基本となる憲法とは、国家の統治権や統治作用に関する根本的な原則を定める基礎法です。

憲法は、国民の権利・自由を守るために国を縛る法律であり、大事なことは、そもそも他の法律とは向いている方向が逆だということです。

 

ともすると、憲法とは、国家が国民を拘束するものと勘違いしがちです。

しかし、そうではなく、放置しておけば、権力の魔力に取り込まれてしまいがちな為政者たちの暴走に歯止めをかけることにこそ、憲法の存在意義があるということ。

 

そもそも憲法とは、主権者(国民)の目線で、語られている法律であるということは、絶対に肝に銘じておくべきことです。

そう考えれば、その為政者側から提出された憲法改正草案が、どれだけ、国民にとって危険なものかは推してしるべし。

 

憲法改正に、なんの思慮もなく賛成してしまうことは、例えれば、檻に押し込んで、行動を制限している猛獣に、安易にその檻のカギを渡してしまうようなものです。

「国民の意見を代弁する」「国民の総意」という美辞麗句の裏に潜む権力者の本心には、とことん目を光らせ、疑問の目を向ける必要がありそうです。

 

その点を踏まえた上で、自民党の憲法改正草案について、検証してみます。

 

 

🔹　憲法改正の動向

 

 

自民党による憲法改正の動きが活発化しています。

自民党は、憲法改正を公約に掲げ、継続的に提言や草案を発表しています。

その背景には、憲法改正の必要性を訴える声が強まっていることも事実です。

 

まず、自民党が憲法改正を求める理由として挙げられるのが、現行の憲法が制定された1947年当時の社会情勢や国際情勢とは大きく異なる現代において、改正が必要であるという点です。

特に、憲法第9条の存在が、自衛隊の存在や自衛権の発動を制限することが問題視されています。

 

また、憲法改正が必要な理由として、国民の意識の変化が挙げられます。

現在、自衛隊に対する国民の支持率は高く、安全保障上の脅威も多様化していることから、自衛隊がより活躍できるよう、憲法改正が求められているという意見もあります。

 

さらに、憲法改正が必要であると主張する人々は、憲法改正によって日本の国益や国際的な地位を向上させることができると考えています。

 

具体的には、国家元首を明確に規定したり、緊急事態条項を設けることで、災害やテロなどの緊急事態に対応する法的な枠組みを整備することができるとされています。

 

一方で、憲法改正に反対する人々からは、現行の憲法が、民主主義の根幹をなす平和主義や人権尊重の原則を明確に規定していることが重要であるとの声があがっています。

 

また、憲法改正によって日本が過去の歴史や侵略に対する反省を明確に示さなければならないという主張もあります。

 

憲法改正については、賛否両論の議論が繰り広げられています。

 

しかし、憲法改正には慎重な検討が必要であり、国民的な議論が必要であることは言うまでもありません。

 

特に、憲法は国民の基本的な権利や自由を保障するものであり、その改正は国民にとって大きな影響を与えるものとなるため、慎重に検討することは重要です。

 

また、憲法改正には、国会議員の3分の2以上の賛成が必要であり、国民投票による承認も必要とされます。

そのため、国民の理解や合意形成が不可欠であり、憲法改正に向けた情報の提供や議論の場の整備が求められます。

 

自民党は、憲法改正について、平和主義や人権尊重の原則を堅持しつつ、現代社会に適応した憲法を作り上げることを公言しています。

一方で、野党や市民団体などからは、憲法改正に反対する声が強く上がっており、憲法改正をめぐる対立は今後も続くと考えられています。

 

安倍政権以降の我が国が、憲法の基本理念に背を向けて、ひたすら国粋主義のナショナリズムに傾倒し、人権保護を犠牲にして、軍事力増強に国民の血税を惜しみなく投入してきたことは事実です。

そして、そのための詭弁をいやというほど聞かされるうちに、いつの間にかそれが正しいことだと刷り込まれてしまった人も多くいます。

 

自民党は、もはや敵ではないと見切った野党の動向よりも、国民世論に耳を傾けています。

 

今後も、政府自民党は、国民の声や、政権への支持率を凝視しながら、憲法改正に関するアクションを起こすタイミングを図っていくはずです。

統一地方選挙後は、首相を狙った爆破未遂事件などもあり、岸田政権の支持率は上昇傾向にあります。

強気になった政権の動向には要注意。

憲法改正の見地からも、こちらの空気を読んでいる、彼らの思惑には注視すべきです。

 

本来であれば、「憲法改正」という言葉は使いたくないところ。「改悪」である可能性も十分にあるわけですから。

 

🔹　自民党の憲法草案の概要

 

 

自民党が提出した憲法改正草案の主な内容についてまとめてみます。

 

自民党は、2021年に修正憲法改正草案を提出しました。以下では、その主な内容について解説します。

 

🔸　自衛隊の位置付け

 

自衛隊の存在は明記し、その存在を自衛のための必要最小限度の力と位置付ける。

また、自衛隊の行使する権限についても明示的に定める。

 

🔸　災害派遣の明確化

 

自衛隊が災害派遣を行うことを明確に定める。これにより、災害時に自衛隊が迅速に行動できるようにする。

 

🔸　緊急事態条項の新設

 

国家の存立に危機が及ぶ緊急事態に備え、緊急事態条項を新設する。

これにより、国民の生命や財産を守るために必要な措置を取ることができる。

 

🔸　知る権利の保障

 

国民の知る権利を保障するため、行政情報の公開や報道の自由などを明確に規定する。

 

🔸　地方自治の強化

 

地方自治の原則を明記し、地方議会に対する権限の強化や、地方自治体に対する財政支援の強化などを盛り込んでいる。

 

以上が、自民党が提出した憲法改正草案の主な内容です。

これらの内容については、当然賛否両論があるため、今後の議論が注目されます。

憲法改正については、最終的には国民による国民投票が必要とされるため、ここは関心を持って取り組む必要があります。

 

政治には、ニュートラルな姿勢でいることがクールだ思われていた時代の空気感は確かに存在しました。

僕の世代は、それにどっぷり使っていたと自覚しています。

しかし、政治の無策ぶりが、明らかに我々の生活に影を落としていることを実感するようになり、時代の空気も徐々に変わってきています。

SNSが広い世代に浸透するにつれ、「政治に物申す」空気は、次第に広がりつつあります。

今や、国民の「無関心」こそが、政治を劣化させる最大の原因であることに、多くの人が気づき始めています。

 

 

🔹　自民党が憲法改正を求める背景について

 

 

自民党の憲法改正の動きには、複数の理由や背景があります。

 

まず、自民党は、現行憲法が戦後のアメリカによる占領下で制定されたものであり、日本の歴史や文化に根ざしたものではないと主張しています。

自民党は、憲法の改正を通じて、日本が自己決定権を持ち、より自己主張のできる国家になることを目指すべきだと主張します。

 

また、自民党は、現行憲法の第9条に対して大きな関心を持っています。

第9条は、日本が戦争を放棄し、武力を行使する権利を否定するものです。

自民党は、自衛隊が適切な装備を備え、自国を守るために必要な措置を講じることができるようにするため、第9条の改正を主張しています。

 

さらに、自民党は、現行憲法の権利条項に対しても批判的です。

自民党は、個人の権利よりも国の安全保障や公共の利益を重視する方針をとっており、現行憲法がそのバランスを欠いていると主張しています。

 

自民党の政策下で、再び義務化されるようになった道徳の教科書には、社会や他者に対する自己犠牲を美化したりナショナル・アイデンティティを強調したりする露骨な内容があり、子どもたちに愛国心を強要する下心が透けて見えます。

反対に、教科書には自由や権利に関する記述が少なく、国民としての権利意識や法律意識を育む機会が圧倒的に不足していることも事実。

現行の教科書で、多様な価値観や文化を尊重し、宗教的・文化的少数者の価値観と権利を擁護することが正しい「道徳」であることを教えられるかは甚だ疑問です。

 

 

🔹　自民党が憲法改正を求める理由について

 

 

自民党が用意した憲法改正の必要な理由について、いくつかの主要な点を挙げてみます。

 

🔸　自衛隊の合憲性：

 

現行憲法では、戦争を放棄するという原則が掲げられており、武力行使を禁じています。

しかし、自衛隊の存在や運用は、この原則との整合性が問われることがあります。

そのため、自衛隊の合憲性を明確にするために憲法改正が必要だということ。

 

🔸　災害対応の法的根拠：

 

自衛隊は、災害派遣などの非戦闘任務にも従事していますが、その法的根拠が曖昧であることが問題視されています。憲法改正によって、自衛隊の非戦闘任務に対する法的根拠を明確化する必要だということ。

 

🔸　憲法の現代的価値：

 

現行憲法は、第二次世界大戦後に制定されたものであり、時代に合わない点があるとの批判があります。例えば、現行憲法では、男女平等や環境権などの規定がなく、これらの問題に対応するために憲法改正が必要だとの主張があります。

 

🔸　参政権の拡大：

 

現行憲法では、外国人に対する選挙権が制限されています。

一方で、外国人が日本で生活することが増え、地方自治体選挙においては外国人に選挙権を与える自治体もあります。

このような状況において、外国人に対する参政権を拡大するための憲法改正が求められることがあります。

 

🔸　憲法改正手続きの厳格さ：

 

憲法改正には、国民投票や国会の3分の2以上の賛成などの手続きが定められています。これによって、憲法改正を行うことが非常に困難であるとされています。

一方で、改正手続きを簡素化することによって、憲法改正を促進する必要があるとの意見もあります。

 

もちろん、挙げられた理由の全てを、眉唾というつもりはありません。

ただ、明文出来ない本音を、どのようにして、聞こえのいい建前の背後に潜ませているかは、じっくりと検証するべきでしょう。

 

 

 

🔹　自民党の憲法草案の問題点

 

 

 

以下に、自民党の憲法改正草案に対する主な問題点をいくつか挙げてみます。

 

🔸　平和主義の放棄の可能性：

 

自民党の憲法改正草案では、現行憲法の平和主義的な条文を改正し、日本が自衛隊などを持つ国家としての地位を明確にすることを提唱しています。

しかし、このような改正が行われると、過去の日本の戦争責任を批判する国際社会から批判を浴びる可能性があります。

そして、自衛隊の保持が、国家としての義務になってしまうと、その維持のために、軍備を増強することが国是となり、徴兵制が復活することも、十分に考えられます。

 

🔸　個人の自由権の制限：

 

自民党の憲法改正草案には、テロ対策などを理由に、個人の自由権を制限する条文が含まれています。

このような条文が改正されると、憲法が保障する人権や自由が制限されることになり、国民の自由やプライバシーが侵害される可能性があります。

具体的に例示すれば、国民の権利義務の均等を定めた憲法13条、表現の自由や集会・結社・請願の自由を定めた憲法21条の条文に、「公益及び公の秩序」を尊重することをさりげなく追加しています。

 

これがクセモノです。

 

つまりこの憲法の条文にこの一文を忍ばせることで、政府や警察がテロや暴力などを理由に、市民の言論や活動を規制することを可能にしてしまうわけです。

 

また、基本的人権の尊重を定めた憲法97条には、「国際法規」や「国際協調」を尊重することを追加されています。これは、国際的な圧力や要求によって、国民の人権が制約されることを容認することになります。

もっともらしい言葉の裏に巧妙に仕込まれた、権力者たちの老獪な意図を見逃してはいけません。

 

🔸　環境権の欠如：

 

自民党の憲法改正草案には、環境権に関する条文が含まれていません。

これにより、環境問題に対する国の責任や義務が不明瞭になり、環境保護が後退する恐れがあります。

 

これも意図的であると考察することができます。

 

つまり、伝統的に自民党という政権が、国土開発やインフラ整備を重視する政党であったという歴史的事実です。

憲法に環境権を明記することは、国民に環境保護への参加や、監視の権利を与えることになり、政府や警察の裁量や権限を制限することになるわけです。

自民党は、政府や警察の権限を強化する方向で憲法改正を進めていることは明白なので、環境権を明記することには消極的であると考えられます。

 

環境権の立場から考えれば、今問題になっている神宮外苑の樹木伐採は、国民の良好な環境で生活を営む権利を侵害するものと言えます。

神宮外苑の樹木は、都心部における貴重な自然環境であり、空気の浄化や温暖化防止などのエコシステムサービスを提供しています。

また、神宮外苑は歴史的・文化的な価値も高く、多くの人々に親しまれている公共空間です。

したがって、神宮外苑の樹木伐採は、国民の健康や幸福を脅かすだけでなく、文化的アイデンティティや社会的結束も損なうことになります。

 

憲法に環境権が明記されてあれば、国や地方公共団体に環境保護の義務を課すだけでなく、国民に環境保護への参加や監視の権利を与えることにもなります。

しかし、現行憲法には環境権が明示されていないため、市民団体や著名人などの反対運動は退けられ、都心の貴重な自然環境は破壊されようとしています。

 

🔸　憲法改正手続きの緩和：

 

自民党の憲法改正草案には、憲法改正手続きを簡素化する条文が含まれています。

 

現行の憲法では、96条で「各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない」と定められていますが、自民党の草案では、「各議院の総議員の過半数以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない」としています。

つまり、国会で改正原案を発議するために必要な賛成数を3分の2から過半数に引き下げるというものです。

 

しかし、憲法改正は国民の基本的人権に関わる重要な問題であるため、手続きを簡素化することが憲法改正の品質や国民の合意形成に影響を与える可能性があります。

日本国憲法は成文硬性憲法と呼ばれるもので、改正には国会と国民のハードルの高い合意が必要です。

そのため、日本国憲法は施行されてから一度も改正されていません。

その是非も含め、このような状況を打破したい自民党の思惑には、十分な検証が必要でしょう。

 

以上のように、自民党の憲法改正草案には、憲法の基本原則や国民の権利に関する問題が多く含まれており、これにより守られている国民としては、憲法改正には慎重な対応が迫られます。

 

 

 

🔹　憲法改正の方向性について

 

 

 

自民党の提唱する憲法改正案には、憲法に基づく権利や自由の制限が含まれていることや、平和主義の改変が懸念されることから、批判の声があがっています。

 

ここで、より適切な憲法改正の方向性について考えてみましょう。

 

まず、憲法改正は、国民の合意形成が不可欠です。憲法は、国家のあり方や国民の生活に直接かかわる重要な法律であるため、国民の意見を尊重し、合意形成を図ることが必要です。

 

次に、憲法改正の目的について考える必要があります。

憲法は、国家の基本的な枠組みを定めるものであり、その改正は、国民生活や国家の安全保障に直接かかわる重要な決定であるため、目的が明確であることが必要です。

具体的には、改正の必要性がある場合には、その必要性を具体的に説明し、国民の合意を得たうえで改正を進めることが望ましいでしょう。

 

また、改正案には、憲法に基づく権利や自由の保障を強化することが望ましいと考えられます。

社会や技術の進化により、新たな権利や自由の問題が発生しているため、改正案には、これらの問題に対応する保障が含まれることが望ましいでしょう。

 

さらに、平和主義についても、改正の必要性がある場合には、国民の合意を得たうえで、より適切な形で改正を進めることが必要です。

例えば、安全保障に関する条項の見直しについては、現代の国際情勢に即した新たな条項の設定が必要かもしれません。

 

以上のように、憲法改正には、国民の合意形成が不可欠であり、改正の目的が明確であることや、憲法に基づく権利や自由の保障を強化することが望ましいと考えられます。

 

もちろん、憲法改正を押し進める自民党も、そのあたりは十分に折り込み積みです。

ですから、その高いハードルである「国民の合意」を得るために、様々な印象操作や詭弁を駆使してくるとは必至です。

 

そして、その圧倒的な資金力に物を言わせて、メディアをフルに活用した国民マインド・コントロール作戦を仕掛けてくることが考えられます。

知らないうちに、憲法改正は「是」と刷り込まれてしまう国民も多くなるはずです。

 

政府自民党は、長年の経験則から、国民は「熱くなりやすく、冷めやすい」ことを熟知しています。

権力の大鉈を振るって、今や大手新聞やNHKさえも、その手中に掌握した自民党は、来るべき憲法改変のタイミングを虎視眈々と見計らっていると考えていいと思います。

 

残念ながら、それを阻止する胆力は、今の野党にはありません。

 

 

🔹　具体的な改正案の方向性

 

 

憲法改正にあたり、具体的な改正案として、盛り込まれるべき方向性も考えていきましょう。

熟慮されるべき改正案としては、以下のようなものが考えられます。

 

🔸　デジタル権の保障

 

現代社会において、インターネットやSNSなどのデジタル技術を利用することは、私たちの日常生活に欠かせないものとなっています。しかし、個人情報の漏洩やプライバシー侵害などの問題も発生しており、デジタル権を明確に保障することが必要です。

 

デジタル社会では、個人のプライバシーや情報の自由、インターネットへのアクセスなどが重要な権利となります。

デジタル権とは、デジタル社会における人間の尊厳や自由を保障するために必要な権利で、例えば、個人情報の保護や自己決定権、ネット中立性やネットリテラシーなどが含まれます。

世界では、デジタル権を憲法に明記した国もあります。

 

例えば、ブラジルでは、インターネット法案でネット中立性やプライバシーの保護を規定しました。

日本でも、デジタル権を憲法に盛り込むべきだという意見がありますが、自民党草案には盛り込まれていません。

 

 

🔸　外国人の権利保障の明確化

 

 

外国人に対する差別や偏見が社会問題となっています。外国人の権利保障を明確に保障することで、多様性を尊重する社会の実現につながります。

 

人口減少傾向の局面に突入した日本が、これからの社会を維持していくためには、外国人の受け入れは必須です。

しかし、我が国の憲法には、彼らを明確に保護する条文はなく、自民党の改正草案にも盛り込まれていません。

島国特有の環境の中で醸成されてきた人種国粋主義は、理性の枠を超えて、根強く日本人の心に住み着いているように思われます。

 

入管法改正案は2023年4月28日に衆議院法務委員会で可決され、来月上旬にも本会議で可決される見込みです。

この改正案は、名目上外国人の人権保護や難民支援を目的としていますが、一方で収容期間の上限撤廃や強制送還の拡大など、人権侵害や差別を助長する恐れも指摘されています。

 

外国人の受け入れを、労働力の確保としてしか考えていない日本政府の対応には、我が国の将来への危急的問題を、他人事として捉えていない無責任さが滲み出ていると同時に、文化の多様性を本能的に受け入れられない日本人の弱点も露見しているように思えます。

 

🔸　国家安全保障の明確な保障

 

 

現代の国際情勢を考慮すると、国家安全保障に関する憲法条項の見直しが必要であることは明白です。

ただし、平和主義の原則を憲法で謳う我が国としては、これを維持しつつも、適切な安全保障を確保するために、その条項設定には、難しいハンドリングが要求されます。

例えば、国家安全保障会議や国家安全保障局など、安全保障に関する組織や制度を憲法で規定することは、必要になってくるかもしれません。

その上で、明らかに憲法違反であるにも関わらず認められてしまった集団的自衛権も、国連や他国との安全保障協力に関しては詳細な規定を詰めていく必要はあるでしょう。

 

 

🔹　結論

 

 

最後に、自民党の憲法草案を総括し、適切な憲法改正の方向性についてまとめてみます。

 

 

自民党の憲法草案は、第9条の改正を含め、いくつかの問題点が指摘されています。適切な憲法改正の方向性については、以下のようにまとめられます。

 

🔸　平和主義の維持

 

憲法には、平和主義の原則が明記されています。

この原則を維持することが、日本が国際社会で信頼される国として存在し続けるためには必要不可欠です。

 

🔸　基本的人権の保障の強化

 

憲法改正にあたり、基本的人権の保障を強化することが求められます。

例えば、生存権やプライバシー権の明確な保障、外国人の権利保障などが挙げられます。

 

🔸　環境権の保障

 

現代社会において、環境問題は深刻な問題となっています。環境権を明確に保障することで、地球環境を守り、持続可能な社会の実現につながると考えられます。

 

🔸　デジタル権の保障

 

デジタル社会において、プライバシーや個人情報の保護が重要な課題となっています。憲法改正にあたり、デジタル権の保障を明確にすることが求められます。

 

🔸　国家安全保障の確保

 

国際情勢を考慮すると、適切な国家安全保障の確保が求められます。

しかし、平和主義の原則を維持しつつ、適切な条項設定を行う必要があります。

 

以上のように、憲法改正にあたり、平和主義の原則を維持しつつ、基本的人権の保障や環境権・デジタル権の保障など、現代社会に即した権利保障を明確にすることが求められます。

また、国家安全保障の確保にあたっても、適切な条項設定が必要となります。

 

憲法を、絶対に犯してはならない聖域と考えるつもりはありません。

時代の変化に合わせて、考え直すべきところは、考え直してもいいとは思います。

しかし、自民党の憲法草案のように、言葉巧みに憲法の基本理念を、捻じ曲げようとする改悪には、首を縦に振ることはできません。

 

そこに、為政者の私利私欲や都合が見え隠れするようであれば、それに踊らされない理性は、主権者である国民には求められると思います。

 

🔹　日本国憲法の特殊性

日本国憲法が、敗戦国である日本が、GHQから押し付けられたもので、主体性がないと論じる人たちが多くいます。
しかし、個人的には、僕はこの意見は取りません。

むしろ、我が国の憲法は、戦争に負けたからこそ獲得できたものだと思っています。

もしも、日本が戦争に勝利していたとしたら、当然のことながら日本国憲法は生まれていません。
明治以来の大日本帝国憲法が、多少の変更はあったとしても、そのまま日本社会に君臨していたわけです。

そして、それから、80年たった日本がどうなっていたか。

いまだに軍部が幅を利かし、侵略行為に明け暮れた日本が、核保有国になっていた可能性すらあります。
国際社会の中で、現在の日本の評価が得られていたかは甚だ疑問です。

日本国憲法の中には、戦争に明け暮れて、国家を破壊させ、人民を苦しめてきた国際社会の歴史からの、大いなる反省が詰め込まれています。
世界史から学んだ、理想の国家像がここに凝縮されているわけです。

国民に主権を置き、その基本的人権を尊重し、戦争は絶対にしないという国が理想であるということは、どの国も薄々と感づいていたにも関わらず、それを明確に明文化して実行できた国はなかったことは事実です。
もちろん戦勝国であるアメリカも、それは同じ。
東京裁判の始まる前に、日本に乗り込んで、日本統治の実績を積み上げ、その既成事実で、戦勝国のリーダーシップをとることを目論んでいたアメリカは、到底自分たちには持つことはできないとわかっている、人類史上最先端の理想憲法を日本に押し付けたわけです。

そこには、来るべき大統領選挙への立候補を目論んでいたダグラス・マッカーサーの思惑もあったはずです。

そして、敗戦国日本は、これに対して文句を言える立場にはなかったことは言うまでもありません。

つまり、図らずも世界でも類を見ない平和憲法を押し付けられた日本は、全世界注視の中で、その実験台にされたと言っても過言ではないのかもしれません。

さあ、その日本が、国際社会の中で、戦後どのような歩みを遂げたのか。

それは、ここで語るまでもない話ですが、世界の国々が手放したくても手放せない軍事力を放棄したノーガードで丸裸の日本は、それでもアメリカの庇護を受けながら、ただひたすら経済成長に専念し、国際社会の中で確固たる地位を築いたわけです。

アメリカに平和憲法を押し付けられた日本ですが、今度はそのアメリカの都合で自衛隊を持たされることになります。
しかしそれでも、我が国は平和憲法と微妙な整合性をとりながら、本日現在まで、後方支援に徹底し、戦地で他国の誰一人も殺さないという綱渡的な離れ技をやってのけているわけです。

もちろん、そこには憲法9条の下支えがあることは言うまでもありません。

そして、誰も殺さない故に、我が国はどの国からも憎まれず、戦前からのイザコザが絶えなかったお隣の中国や韓国からの定期的なバッシングはあるにせよ、少なくともテロ攻撃の標的にされることはなかったわけです。

つまり、二発の原爆を喰らい、敗戦でコテンパンになることで、図らずも、どの国も真似をすることの出来ない理想憲法を持つことになった日本の動向は、決して武器を手放すことのできない国からは、いつの時代であっても、注視の的になっていたと言えると思います。

言ってしまえば、自衛隊は保持しているにせよ、憲法で戦争を放棄している日本が、国際社会の中で、それなりの地位を獲得し、国民一人一人の生活を安定して支えている国であることをアピールすれば、世界の国々は本気で、無駄な戦力を保持することが、国のためにも、国際社会のためにもならないことを学習したはずだとも思えるわけです。

しかし残念ながら、理想的な憲法を持った我が国を統治する自民党の姿勢は、お世辞にも理想的な物ではありませんでした。

気がつけば、自衛隊の防衛費は、およそ5兆円で世界の中でも、第9位。
これが倍になることが決定されたわけですから、そうなればインドと並んで第4位になるわけです。

なんとも腹立たしいのは、こういう意思決定が、いつでも国民に問われることなく進行していくということ。

もちろん、選挙で連勝を続けてきた自民党ですから、それが全てと言われてしまえばそれまでですが、少なくとも、どの議員も選挙運動の最中は、自分たちの不利になると思われる政策は、決してしゃべりません。
しかし、当選してしまえば、すぐに影ではこんな密約をコソコソとやって、国民の意思とは明らかに違う方向に、日本を誘導していってしまうわけです。

統一地方選挙で誰に投票するのかは、ほとんど当てずっぽうでわからないところがありますが、少なくとも、防衛費倍増を聞かれれば、国民のほとんどは、イエスかノーの、即答はできます。

自民党の憲法草案の検証をする前に、まずやるべきことは、この奇跡の憲法を、国民一人一人が、じっくりと検証することかもしれません。