テレビドラマ、日本映画ときたので、今度は洋画のコワーイ映像。
今まで僕が見た星の数ほどの洋画の中で、一番恐かった「恐怖シーン」はなにかというのを語るとき、僕は今でも、この映画のこのシーンを挙げることにしています。
この映画を一番最初に見たのは、テレビ放映でした。
荻昌弘氏が解説をしていたTBSの「月曜ロードショー」。
その映画とは、エドガー・アラン・ポーの怪奇幻想小説を、仏・伊を代表する3大監督が競作したオムニバス作品「世にも怪奇な物語」。
1968年の作品です。
第一話「黒馬の哭く館」はR・ヴァディムが監督。
当時の妻であったJ・フォンダと弟のP・フォンダ主演で、黒馬に乗り移った男の魂によって死へと誘われる令嬢の姿を妖しく一遍。
第二話は、「影を殺した男」。監督はルイ・マル。
同姓同名の男の存在に脅かされるウィリアム・ウィルソンの末路を追ってドッペルゲンガーの恐怖に迫る一編。
主演は、A・ドロン。ちなみに、僕が映画ではじめて、モロのおっぱいを見たのは、確か、この第二話でした。
一瞬でしたが、テレビの前で「え、いいの?」なんて思ってしまいました。こういうことは、はっきり覚えているものです。
もちろん、ブリジット・バルドーのものではありませんでしたが。
さて、この映画の中で、なんといっても秀逸なのは第三話。
最後の「悪魔の首飾り」です。
監督はF・フェリーニ。
飲酒によって人生を転落しつつある俳優の前に現れる少女の幻影。
あまりにも綺麗な少女の姿がかえって不気味な感じを出していました。
第三話の中で、この少女の姿をした「悪魔」は都合3回登場いたしますが、これがメチャメチャ恐い。
主役のテレンス・スタンプのいっちゃってるブリも、なかなか恐かったのですが、やはりこの少女の悪魔です。
白い洋服に、白いマリ。
この悪魔が登場すると、ニーノ・ロータのスコアによる、ピアノのハイキーのBGMが流れ、恐怖をいっそう盛り上げます。
特に、特殊メイクを施しているというほどてはない、白塗り化粧の少女の悪魔。
しかし、フェリーニの演出の妙で、この少女の登場シーンが見の毛がよだつほど恐いシーンになっています。
このDVDは、永久保存版としてすでに購入済み。改めて、第三話を鑑賞いたしました。
夕日で真っ赤に染まった空港ロビー、異様なまでに人工的にデフォルメされたテレビ・ショーの世界、全く人気のない夜の街角と、音楽、色彩、セットが、もう全編フェリーニ一色といった雰囲気。
ポーの原作を、徹底的に自己流に作り上げたフェリーニの体臭がプンプンと漂うような一遍です。
悪魔には見えない悪魔。
意外と、こういうのが恐いのかもしれません。
そうそう、最近見たジャパニーズホラー「呪怨」に出てくる白塗りの少年。
清水崇監督は、おそらく、この映画に出てくる少女の悪魔を意識したのだと思われます。
フジテレビのドラマ「世にも奇妙な物語」も、もちろんこの映画が下敷きになっているわけです。
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