「成熟」という映画を見ました。
別に、ポルノ映画というわけでありません。
1971年製作の大映映画。
当時の大映の看板女優だった関根恵子(現: 高橋惠子)の大映時代最後の主演作。
実は、この映画にはちょっと思い出があります。
まず、その前に言っておきますと、この作品をちゃんと見たのは、今回がはじめて。
では、いままで未見だった、この作品に何の思い出があるのか。
実は、「予告編」にあります。
僕は、この映画の封切り当時は、小学6年生のマセたガキでしたが、実は、この映画の「予告編」は、何度も何度も見ているんですね。
というのも、この「成熟」の監督が、湯浅憲明。
いわずと知れた、あの「ガメラ」シリーズの監督です。
当時の僕は、このガメラ映画を、何度もあきもせずに繰り返し繰り返し、映画館に通いつめてみていました。
そして、その度に、次週上映作品となることが多かった、この関根恵子の映画の予告編を見ることになるわけです。
「高校生ブルース」「おさな妻」「遊び」などなど。
彼女の大映作品は、全部で8作品あるのですが、この8作目に当たる「成熟」という映画のタイトルは、当時の僕には、その予告編とともに、妙に生々しく印象に残っていました。
なぜか。
実は、この映画の予告編の冒頭には、しっかりと彼女のヌードシーンがあったんですね。
しかし、親に小遣いをもらっている身の小学生が、ガメラの映画ならいざ知らず、関根惠子の映画を見たいから、小遣い頂戴などと、いえるはずもありません。
しかも、当時の大映作品の上映館は、我が家と、母親が、毎日買い物に行くスーパーのちょうど通り道にあたり、「ガメラの映画をみるから」なんていう嘘は、すぐにばれてしまう恐れがあったわけです。
彼女のヌードを見るには、当時の僕としては、ガメラ映画の合間の、予告編を見るしかなかった
。
そして、時は流れて40年。
僕も、いっぱしのスケベオヤジになりました。
ある日、会社帰りのレンタルショップで、この懐かしい、関根恵子主演のこの「成熟」のタイトルを発見。
早速借りて、40年間の思いをこめて、本日見終えたところです。
さて、感想。
「うそーっ。関根恵子のヌードなんて、全然ないじゃん」
これはちょっと、ショックでしたね。
これは、単純に僕の記憶違い?
すると、「特典影像」に、この映画の予告編がありました。早速確認です。
いやいや、間違いありませんでした。冒頭に、川原に佇んだ彼女がヌードになるシーンが間違いなくありました。
これは、まさしく、僕の40年前の記憶としっかり一致。
しかし、89分の映画本編には、色っぽいシーンといえば、彼女が下着姿で、海辺で佇むシーンのみ。
ヌードシーンはおろか、エッチなシーンもほとんどなし。映画としても、実に中途半端な映画になっていました。
これは、納得いきません。見終わって、よくよくリサーチしてみると、この作品は、彼女の大映作品の中で、唯一彼女のヌードが出てこない映画とのこと。
彼女自身の弁。
「デビュー作以来、連続7本でヌードシーンがあった」
つまり、この第8作目が、彼女にとっては、はじめてのヌードシーンなしの映画になったというわけです。
しかし、その映画の予告編に、彼女のヌードを出すというのは、大映さん、ちょっと反則ではないでしょうか。
40年前の、マセガキ(もちろん僕のこと)が、もしも、あのとき勇気を持って、親の目を盗んで、この映画を見に行っていたら、どんなにショックだったろうか。
それ以前の7本にすべて、ヌードシーンがあるのだから(確認したわけではありませんが)、問題ないだろうという判断なのかもしれませんが、嘘は嘘。
今ならさしずめ、JAROに、いっちゃうよというお話です。
もちろん、後年の日活ロマンポルノ「ラブレター」で、彼女のヌードは確認しておりますが、それはそれ。
スケベを敵に回すと怖いよ。
しかし、その大映も、角川映画に吸収されてしまい完全消滅しております。