さて、これも、欲しくてもなかなか手に入らなかったDVDの一枚。
やはり、Amazonで、購入してしまいました。
「ABBA/ザ・ムービー」。
スウェーデンが生んだポップグループABBAの、人気絶頂の頃の、オーストラリアツアーの模様を追ったドキュメンタリー映画です。
監督・脚本を、後に『サイダーハウス・ルール』を作って名監督の仲間入りを果たす、ラッセ・ハルストレムが担当。
「アバの楽曲はプログレ」とは元キング・クリムゾンのジョン・ウェットンの台詞。
アバの成功は、その親しみやすいメロディと、卓越した編曲アプローチ、そして的確な演奏に裏打ちされていたもので、大衆に向けられた純粋なポピュラー音楽として、アメリカのポップミュージックとは明らかに一線を画していました。
この「ABBA/ザ・ムービー」は、ローカルラジオ局のDJが数々の苦難を乗り越えてアバの単独インタビューに成功するというドラマを巧みに絡ませて、フィクションとノンフィクションを、絶妙にブレンドした不思議な感覚の映画になっていました。
「THE NAME OF THE GAME」(きらめきの序曲)
「TAKE A CHANCE ON ME」
「EAGLE」
「TIGER」
とにかく、絶頂期の彼らの、ご機嫌すぎるナンバーがふんだんにビジュアルで楽しめます。
この映画は当初、16ミリフィルムで撮り始めたドキュメンタリーでしたが、やがて35ミリのパナビジョンフィルムに変更。
世界市場に向けたツアー記録映画に変貌していきます。
このあたりの状況が、うまく表現されたのがオープニングのシーン。
DJが、アバの取材を上司に言い渡されるくだりが、16mmフィルムサイズ。
そして、編集長が叫ぶ「世界中の話題になるぞ!」というセリフとともに、両手を広げるカットに合わせて、画面が、16mmから、35mmのワイドスクリーンにバーンと広がり、間髪いれずに、「HOLE IN YOUR SOUL」の、「ダダダダダーン」という、インパクトのあるイントロがすべり出します。
「いやあ、かっこいい!」
映画館で、おもわず、うなってしまったシーンです。
そして、35mmになった画面いっぱいに映し出されるのが、空港に到着してデッキを並んで歩くABBAのメンバー。
とにかく、このシーンに流れる「HOLE IN YOUR SOUL」のイントロの印象は強烈でした。
後に、この映画のサントラ盤である「ABBA THE ALBUM」で、この曲のフルバージョンを聴くことになるのですが、その印象と記憶がだぶっていたようで、この映画で使われたのは、この曲のイントロのみだということに、今回見直して、改めて気がついた次第。
それにしても、この曲は、何度聞いても、ご機嫌です。
楽曲のクライマックスで、最高音域まで、一気に駆け上がって、伸びまくるアグネッタの奇跡のボーカルは、もはや人間の声を越えて、「超音波」の領域。ひたすら脱帽です。(この映画では聞けませんが)
シングルカットこそされていませんが、この曲は、この映画から生まれたABBA最大のヒット曲「THANK YOU FOR THE MUSIC」と並んで、僕の中では、常にランキング上位に入ってくるご機嫌なナンバーです。
以前、洋楽専門のカラオケで、この曲のカラオケを見つけたことがありますが、さすがに、選曲はできませんでしたね。
あの、アグネッタのハイトーンが出るわけがない。
誰か、この曲、カラオケで、歌ったことのある人いますか?