さて、柔道競技全日程が終了しました。
男女最重量級による最終日の結果は、金メダルひとつ、銀メダルひとつ。
終わってみれば、日本柔道の戦績は、金メダル4つ、銀メダルひとつ、銅メダル1つという結果。
アテネのようなメダルラッシュというわけにはいきませんでしたが、柔道日本の面子をなんとかキープできたという内容ではなかったでしょうか。
さて、女子柔道78キロ超級の日本代表は塚田真希。
決勝で中国の強敵トウ・ブンに逆転負け。
あともう一歩のところで、金メダルには、にはとどきませんでした。
つかみかけていた勝利がスルリと逃げたのは終了10秒前。
試合は、塚田が足技で有効を奪い、終始優勢な展開。
しかしそれでも最期まで前に出て攻撃するという姿勢を彼女は崩しませんでした。
しかし、結果としてはこれが仇になります。
なんとか一本勝ちを取ろうとして、前に出る彼女の下にもぐりこんでの、トウブン捨て身の一本背負いに彼女は、グルリと転がってしまいました。
強敵、トウ・ブンに、塚田は05年、07年の世界選手権で2連敗。
前回アテネ大会のディフェンディング・チャンピオンである塚田ですが、この大会では挑戦者。
この「トウブン越え」を目標に設定し、男子を相手にして、心と技を作ってきた彼女でしたが、まことに残念な結果に終わってしまいました。
最後まで前に出て、逆転負けを喫した女子柔道78キロ超級の決勝戦。
試合後の塚田のコメント。
「あの状況では前に出なくてはいけないというのがあって仕方がない」
有効を得てはいましたが、トウ・ブンも効果を得ており、ラストで「逃げ」にはいれば、わずかなポイントで並ばれる可能性があったため、危険を承知で前に出た結果としての逆転負け。
試合後の彼女は、ちょっと可哀想でみていられない感じでしたが、「悔いが残る」負け方ではなかったことだけは救いでした。
表彰式では、予想外の笑顔で銀メダルを受け取っていましたので、切り替えは早いようですね。
日本に帰ってくれば、ママスコミにも追いかけられるでしょうが、相当食欲旺盛な方とお聞きしておりますので、しばらくは、柔道から離れて、ガッツリとお好きなものをお好きなだけ召し上がれ。
さて、男子柔道。
柔道男子100キロ超級は、石井慧が、決勝でタングリエフに優勢勝ち。
見事金メダルを獲得しました。
同階級は、アテネ大会の鈴木桂治に続き、2大会連続で日本が制したことになります。
柔道男子は前日まで、内柴以外の5人は、すべて初戦敗退。
明暗はクッキリと分かれましたが、彼がギリギリのところで、日本柔道のメンツをなんとか救ったというカタチになりましたね。
ソウル大会での斉藤を思い出します。
ソウル大会での男子柔道は、全ての階級で日本人選手が敗れ、最後に出場する斉藤には、凄まじいプレッシャーがかかる中で優勝。
同大会では、これが柔道競技唯一の金メダルでした。
その斉藤が、この北京大会では、日本柔道チームの総監督。
金メダル獲得後の石井のコメントが面白かったですね。
「オリンピックのプレッシャーなんて、斉藤先生からのプレッシャーに比べたら、へのカッパみたいなもんですよ。」
斉藤監督が、この「新人類」とでもいうべき、若き21歳のエース石井には、プレッシャーが有効であると踏んだか踏まなかったかはわかりませんが、結果オーライというところでしょうか。
「日本に帰ったら何がしたいですか」
インタビューの質問に答えて、石井がポロリとこういってしまいました。
「遊びたいッス」
しかし、いった瞬間、彼の脳裏には、間違いなく、怖い怖い、斉藤先生の顔が浮かんだのでしょう。
すぐにこう訂正していました。
「練習です」
ちと遅かったですな。
そういえば、ずっと、NHKの放送で男子柔道の解説をしていた篠原信一氏は、準々決勝で、石井が、世界選手権銀メダルの難敵トマノフを押さえ込みで破ったときに、早々と、石井の「金メダル当確」宣言をしていました。
アナウンサーは、一瞬戸惑っていましたが、結果はご覧のとおり。
専門家から見ても、昨日の石井の柔道は、万全だったということでしょう。
その篠原氏が、石井のインタビューを聞いた後にこういっておりました。
「石井選手には、しゃべらせないほうがいい。」
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