今から、十三年ほど前の、雨の季節には、こんな短歌を作っていました。
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六月
天気予報南の国の入梅に今朝の晴天体に吸い込む
コンビニの弁当にサラダひとつ添えバランス気にする四十独身

王様がそのまま町へ飛び出して我が家と同じノリでうろつく

いつからかモニターの向こうとこちらとの境を忘れた子供たちかな

自分らの頃はああではなかったと彼らを育てた人たちが言う

公園の木陰を夏まで艶やかに貴婦人の如く菖蒲彩り

見上げれば夏を孕んだ重き雲ベランダに出て風を待ちつつ

自転車のサドルを上るカタツムリ頂上手前で葉っぱに帰され

タンクトップ薄着の季節迎えればスタイル自慢が肩で風切る

梅雨空に夏の陽射しが勇み足雨の季節もそろそろ峠

梅雨寒にしまったジャケット着なおして缶コーヒーのホット買っている朝

ケーキセット亭主を肴に主婦たちが声弾ませるファミレスの三時

梅雨らしくそぼそぼと雨降りしきり紫陽花の花紫陽花らしく

選挙戦あちらこちらの掲示板つくり笑顔が花と咲く

紫陽花や候補者たちが夢の跡彼らの熱と我らの温度差

上底靴気持ちはわかるが見る方はその分の高さ差し引いており

だからほれほらあれだよと騒ぎ立てその一言が出ない悔しさ
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