さて、iPad お絵描きギャラリーです。
ここのところ、ずっと、懐かしい日本映画のポスターのイラストをせっせと描いていました。
もともとが、映画オタクですから、これは、楽しかったですね。
そんな資料がどこにあるのかというと、図書館です。
ネットでも見付かることは見付かるのですが、ちょっと画像のサイズが小さすぎて、
お絵描きのお手本にはなりません。
ここ最近は、休みのたびに、図書館めぐりをして、資料の収集。
デジカメで、お目当てのポスターの写真を、バチバチと撮ってきました。
ちなみに、わが社は入間市にあるのですが、そのお隣が東京都の青梅市。
この青梅市には、かつて映画産業華やかりし頃に、映画館の宣伝用の看板を
描いていらっしゃった方が住んでいらして、青梅市が「町おこし」で、その方の
映画の看板を、町のあちこちに展示しているんですね。
どれも、昭和20年代から、昭和30年代かけての、邦画洋画の名作の数々です。
あそこを通るたびに、僕としてはニンマリしていました。
僕の少年時代は、昭和30年代後半。
世の中、だいぶテレビの時代にはなっていましたが、まだ、町のあちらこちらには、近くの映画館
のポスターが貼られていました。
子供ですから、もちろん、見られる映画は、怪獣映画と相場は決まっているのですが、
やはり、子供心にも見たいなあと思わせる、巧みなで刺激的なポスターはたくさんありました。
まだ、インターネットも、タウン誌もない時代です。
映画館に観客を呼ぶための最大の宣伝といえば、当時はやはりポスターしかなかったわけです。
今回改めて、当時の日本映画のポスターを眺めてみて思ったのですが、
いわゆるB級作品のポスターが元気なんですね。
たとえば、黒澤明とか、小津安二郎とか、監督の名前で観客が呼べるような作品は、
ある意味ポスターもおとなしいものが多い。
どーんと、監督の名前だけわかるようにしてあれば、わかっている観客は、それだけで
映画館に足を運びます。
しかし、そうでない、キワモノ企画、エログロ路線のB級C級作品は、
ポスターの中に、観客を刺激するありとあらゆるテクニックをてんこ盛りに詰め込んで、
ポスターを見た人の一人でも多くを妄想させて、近くの映画館に足を運ばせようという
作り手の策略が見て取れます。
しかし、その涙ぐましい努力が、今こうやって、ポスターとして並べて見ると、
見慣れた名作名画のポスターよりも、俄然面白いんですね。
特に、お色気企画の映画のキャッチコピーなんて、今でもそのままAV作品で
使えるような傑作コピーがたくさん出てきます。
というわけで、今回のイラストは、当時のキャッチコピーも、そのまま乗せることにしてみました。
拙い画力ではありますが、往年の映画全盛時代の雰囲気が伝わればお慰み。
映画好きの方は、是非、お楽しみくださいませ。
これは小津安二郎監督の名作です。
1951年の作品。昭和26年ですね。
ちなみに、「麦秋」は、英語で書くと、"EARLY SUMMER"
ですから、初夏のことです。ちょうど今頃のことなんですね。
小津監督も、この頃になると、もう押しも押されぬ大巨匠。
この映画の中には、その小津監督としては珍しいクレーンによる移動撮影が
取り入れられたシーンがあります。
二人が芝居をしながら、砂丘を歩くシーンでしたが、とにかく構図にこだわる小津監督が、
砂丘の高低で構図が変わるのを嫌って、クレーンで二人の歩くスピードに合わせて
ゆっくり上下しながら移動撮影したというシーンでした。
僕ごときのイラストでは伝わりませんが、ポスターにも芸術の香りが漂います。
こちらは、1965年の山本薩夫監督の「スパイ」。大映作品です。
この映画は、未見です。
このポスターで初めて知りましたが、ちょっと小川真由美のいい女っぷりが伝わってきて
ワクワクしますね。
怖い顔をしているのは、田宮二郎。後に猟銃で自殺したのは、ご存じの通り。
「クイズ・タイムショック」の司会でも、有名でした。
これも大映作品。同じく1965年の作品。
主演は、若尾文子。
どうです。このゾクゾクするキャッチコピー。
映画は見ていませんが、若尾文子さんの、艶めかしい、あられもない肢体を
勝手に想像してしまいます。
映画を見てしまえば、おそらくは、「なんだ、こんなもんですか」ということになるのでしょうが、
それでも映画館に足を運ばせた時点で、これはポスターの勝ちです。
こちらは、1964年の日活映画。
主演は、加賀まりこ。
日活もこの頃になると、もう石原裕次郎や小林旭のスターシステム映画では、
やっていけなくなって、いろいろなスタイルの映画を模索し始めた頃。
そして、迷走しながら、最終的には、ロマンポルノへと行き着くわけです。
これは、まったくの未見。1957年の作品。
このポスターを見るまでは、その存在すら知らなかった映画です。
でも、今見ても、こんなDVDがあれば、ちょっと手に取ってみたくなるタイトルです。
で、調べてみたらAmazon で、見つかりました。
しかし、値段はちょっとお高い。コアなファン向きなんでしょう。
この辺の作品が、WOWOWあたりで、ズラリとオンエアされないかしら。
それをやつてくれれば、毎月3000円の視聴料も高くありません。
主演は、前田通子という女優さん。グラマー女優という「説明書き」がありました。
この時代では、この手の作品の常連だった女優さんだったようです。
キャストを眺めて、もう一人、知っている名前を見つけました。三ツ矢歌子さん。
イラストでいうと、左隅で、こちらをきっとにらんでいるのが、彼女です。
すでに亡くなられていますが、この人の若い頃の、写真を見ると、どことなく
藤原紀香に似ていますね。
これは東映作品。
若山富三郎というと、僕にとっては、「白蛇抄」の、エロ坊主役が強烈でした。
あの映画では、小柳ルミ子と、ドロドロの情事を繰り広げるわけですが、
おそらくは、そのキャスティングには、このあたりの映画でのイメージがあったのでしょう。
キャストを見ると、「菅原文太」「「藤山寛美」「京唄子」なんていう名前もあったりで、
これも未見ですが、今更ながら、ちょっと見てみたい一本。
さあ、こちらは、ご存じ健さんの名シリーズの一本。
たぶん、これは見ています。
ただ、この「網走番外地」シリーズは、「新」が付くシリーズも含めれば18本作られており、
東映のドル箱映画。
キャストも同じ役者が出ていることが多かったので、いろいろな作品がごちゃごちゃに
なってしまっていて、「これ」というシーンが、ちょっと思い出せません。
僕にとっては、シリーズ全体で一本の映画みたいな印象です。
よく言われることでしたが、健さんの映画を見て出てくると、男たちはみんな、
肩で風を切って歩いて映画館を出てくるといわれたものですが、
僕が見たのは、もちろんリアルタイムではなくて、衛星放送を録画したDVDでした。
これも、まったくの未見映画。昭和33年の新東宝の作品です。
この映画には、スタッフにも、キャストにも、知っている人がほとんど出来ません。
どこからどう切っても、B級映画という香りムンムンの映画ポスターですね。
しかし、どうしてどうして、むしろ、それだからこそ、この頃の新東宝の作品のポスターには、
僕のようなミーハー志向の映画オタクにとっては、たまらないテイストの
映画ポスターがこれでもかと出てきます。
まあ、そのあたりは、いずれ、拙いイラストで。ご紹介していくことにいたしましょう。
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