amazone プライムビデオにて鑑賞。
前後編合わせて、270分。
映画でこの尺なら、大作ということになるのだろうが、良くも悪くも大作を見たという感じはしない。
宮部みゆきの原作は、原稿用紙延べ4700枚という長編。
これをドラマ的盛り上げ方は一切排して、映画として、はしょらずに丁寧に作ったという点においては力作。
監督は、これが映画デビューの成島出。
主演は、これもこの映画がデビューとなる、藤野涼子。
役名と同じ芸名でデビュー。年齢も役と同じ14歳。
役名と同じ芸名でデビューというと、古くは天地真理、早乙女愛なんていたけどご存知?
生徒の転落死の真相に、自分たちの手で辿り着こうという中学生たち。
ミステリーという形をとってはいるけれど、映画でしっかりと描かれているのは、中学生たちの葛藤と成長。
学校や親たちも巻き込んだ、やがてはこの中学校の伝説とまで言われることになるこの裁判劇。
裁判過程で、偽証は、ひとつひとつ覆されてゆく。
そして、すべての偽証がひっくり返された果てに、彼らが辿り着いた真実とは。
なんだか、ネタバレしないように気を使っていたら、映画の宣伝みたいになってしまいました。
でもラストのクライマックスは、ミステリーとして明らかになった真実そのものではなく、あきらかになった後の当事者たち。
通常の裁判ではあり得ないメルヘンを、中学生たちを主役に据えることで、きっちりと描きたかった。
この映画の核は、そのあたりでしょうか。
「みんなでちゃんと僕を裁いて欲しい」という証言者に、ヒロインはこういって裁判は終わります。
「この場に、あなたを裁ける人は誰もいない。」
14歳といえば、ちょうど大人と子供のはざまで揺れる世代。
23年後にこの中学に教師として、赴任してきたヒロインがこういいます。
「14歳だっただからこそできた裁判でした。」
コメント