レコードプレイヤーも持っていないのに、僕がたった一枚だけ持っているシングル・レコードがあります。
「レディス・アングル / スタンド・イン」
歌っているのは長谷直美。
僕らの世代なら、覚えている人はいるかもしれません。
元々はアイドル歌手。
その彼女が女優に転身して、ブレイクしたのが、「俺たちの朝」。
中村雅俊主演のドラマです。
その後は「太陽にほえろ!」のJマミー刑事としても活躍しましたね。
彼女は、歌手としても活動をしていました。
発売したシングルは数枚ですが、これはその中の一枚。
1981年のリリースです。
僕は、これをおそらく深夜放送のラジオで聞いたんだと思います。
一回聞いただけですが、頭からは離れない一曲になりました。
そして、このレコードを購入したのはおそらくそれから数年後。
西新宿の中古レコード店だったと思います。
それほど売れたレコードではないですから、CD化されることもなかったので、このレコードは貴重な音源として、ずっと手元に置かれたまま。
その僕の持っている唯一のシングルレコードの作曲者が、かまやつひろし。
作詞は、森雪之丞。
僕はこの一曲のクリエイターであることで、ムッシュかまやつの才能は評価していました。
この人、タダモノじゃない。
もちろん、ムッシュかまやつは、60年代に一世を風靡したグループサウンズ・ムーヴメントの中でスパイダーズのリーダーとして活躍。
「フリフリ」「バンバンバン」「あの時君は若かった」などなど。
僕のお気に入りのナンバーは、すべてムッシュの作曲によるものでしたね。
スパイダーズ解散後は、フォーク畑で、吉田拓郎などとも共演。
彼最大のヒット曲は、「我が良き友よ」でした。
その特異なキャラクターを買われて、ドラマにも出演。
「時間ですよ」で、堺正章の先輩で釜田質店の主人を演じていました。
いつも子供を連れていて、松の湯の従業員・悠木千帆(後の樹木希林)が、秘かに思いを寄せる役どころ。
彼女が、「かまたさん!」と叫ぶシーンが毎回あったと記憶しています。
そして、もう一曲。
彼が一流の作曲家であることを知らしめた名曲があります。
アニメ「はじめ人間ギャートルズ」のエンディングテーマとなった「やつらの足音のバラード」。
これは、アニソンというジャンルには収まらない名曲です。今でも好きだなあ。
そのムッシュかまやつは、もうこの世にはいません。3月1日に膵臓癌で死去。享年78歳。
今頃は、ムッシュが亡くなる1か月前に逝った奥さんとと並んで、天国でのんびりとゴロワーズを燻らせているかもしれません。
改めて、心よりご冥福をお祈りいたします。