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前作のテーマは、熟年離婚。
今回、山田洋次と平松恵美子の脚本チームが取り上げたのは、老人の免許返上問題。
もう一つの軸は、旧友との再会。
そして、それがとんでもない展開になり、振り回される平田周造一家。
悲劇と喜劇は人生の裏表。
次々と、家族たちに襲いかかる当事者たちにとっては到底笑えない状況。
しかし、それが、見ている方には抱腹絶倒の喜劇になる。
かつて、喜劇王チャップリンはこういいました。
「人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇。」
すでに80歳を超えている山田監督。
まだまだそのあたりのツボは憎いほどわかっていらっしゃるようです。
中でも芸達者なのはやはり橋爪功。
この人、多分に寅さんを演じた、渥美清の演技を意識しているように見えてしょうがない。
あるいは、山田監督がそれを求めたか。
とにかく、こんな地味なテーマでも、きちんと丁寧に脚本をこしらえれば、これだけ立派なエンターテイメントになるというお見本。
ある意味では、「男はつらいよ」への、山田監督自身のオマージュかもしれません。
さて、老人の免許返上問題。
この超高齢化社会となっては、無視できない問題です。
老いてもなお車を運転する元気な老人がけして悪いわけではない。
でもそれがいつか、高速道路の逆走までいってしまうとゆゆしき問題です。
自分はいつまでも若いと思っていても、老齢の悪魔は音もなく忍び寄っています。
そのまま放置していれば、いつかどこかで足元をすくわれます。
ですから、そこは謙虚に、あまり片意地を張らずに、慎ましく生きていきたいもの。
そんな僕もいよいよ来年は還暦の60歳。
いよいよ老人の仲間入りです。
会社の定年は、昨今の高齢化事情を反映して、つい最近65歳に延長されました。
しかし、老後に農業従事を志望している僕としましては、まだまだ体が動くうちに貴重な経験値を積みたいという思いで、会社の規定よりは少々早いですが、60歳での定年退職をお願いしました。
もちろん老後は田舎に移住希望ですね。
我が社は運送会社。
もちろん、僕も仕事で今は毎日ハンドルを握っています。
若い者にはまだまだ負けないという思いもなくはないのですが、最近は運転がちょっと怖いと思いようにもなりましたね。
体力の衰えはもちろん感じています。
物覚えも悪くなっています。
何かちょっとしたことが、若い頃のようには行かなくなってきていることは日々痛切に感じる毎日。
このまま、ずっと車に乗っていると、次第になにか大きな事故を起こすリスクが、日増えてきている気がしてなりません。
昔なら、もっと早く安全に踏めたブレーキが、徐々に微妙に遅くなってきている。
運転中の、ヒヤリハットも昔より増えてきている気がする。
これも、農業転向を真剣に考えるようになった大きな理由の一つです。
もしこの先、定年退職後の就農計画がうまくいって、自分の畑で野菜を作れるようになったら考えていることが一つ。
それが、この映画でも取り上げられた、免許の返上です。
映画のように、心配してくれる家族は、僕の場合、幸か不幸かおりませんから、これは自分の意志で決めるしかない。
つまらない意地を張って、事故を起こして、結果世の中に迷惑はかけたくない。
これが本音ですね。
できれば、いずれは免許は原付くらいにして、車も免許もつかわないらスローな暮らし。必要ならば歩く。
出来れば、そんな生活スタイルを是非組み立ててみたいところ。
いよいよそのスタートは来年です。
ところで、橋爪功の長男が、西村雅彦という設定。
これ絶妙だと思いません?
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