映画の原題は、「Mr.Dees Goes To Town」
原作の物語が「オペラハット」
オペラハット自体は、折りたたみ式の仕掛け帽子のこと。
しかし映画と、このタイトルの所以が、結局最後までわからなかった。
どなたかご存知でしょうか?
わからないといえば、スクリューボール・コメディ。
映画の本を読んでいると、これは度々出て来る。
1930年代から、40年代にかけてハリウッドで流行したロマンチックコメディとのこと。
Wiki すれば、そう出て来る。
スクリューボールとは、つまり野球の変化球のことらしい。
「常識にとらわれない登場人物、テンポの良い洒落た会話、波乱に富んだ物語」
同じく、Wiki ではそう説明されている。
このジャンルを認知させたのは、この映画の監督でもある、フランク・キャプラの1934年作品「或る夜の出来事」らしい。
代表監督は、ほかにエルンスト・ルビッチ、ハワード・ホークス。
印象としては、男性と対等の立場に置いた元気な女性を前面に出した、都会派ラブコメディ。
同じような都会派コメディでも、「七年目の浮気」のマリリン・モンローのように、セクシーを前面に押し出してくる50年代のコメディは、「スクリューボール」とは呼ばれないようだ。
また70年代の「アニー・ホール」のダイアン・キートンのように、知性を前面に押し出したコメディも、同じくスクリューボールとは言われない模様。
どうやら、この「スクリューボール」という表現は、あくので30年代から、40年代限定のジャンルといえそう。
この映画で、ゲーリー・クーパーのお相手は、ジーン・アーサー演じる突撃新聞記者。
特ダネのために、主人公に近づくが、純朴な彼の人柄に触れるうち、いつしか恋心が芽生えてしまうという展開。
こうなれば、どう転んでもハッピーエンドしかありえないのが当時の古き佳きアメリカ。
ゲイリー・クーパーは、この時代が求めるキャラクターをきちんと理解しているようだ。
そして、191cmの長身の彼は、この「ミスター善人」を、実に飄々と嫌味なく演じている。
実際の彼がどういう人物なのかは知る由もないが、彼自身は、観客から求められているこのはキャラクターは肌で感じていて、この路線から外れるキャスティングであれば、しっかりと断り続けていたようだ。
あの「風と共に去りぬ」のレッド・バトラー役も、最初はクラーク・ケーブルではなく、彼の元にオファーがあったらしい。
しかし、バトラー役は、自分に求められているキャラクターではないと、辞退したそうだ。
彼の、バトラーを見たい気もしたが、その代わりに、同じフランク・キャプラ監督の「群衆」などに出演。
着実に、ハリウッドでの自分の立ち位置を固めていった。
スクリューボール・コメディでは、しゃきしゃした女性像をクローズアップさせる都合で、どうしても男役の方は、凡庸に描かれがち。
そのため、ゲイリー・クーパーも一時は、「大根役者」の汚名を着せられてはいたが、1941年の「ヨーク軍曹」では、見事にアカデミー賞主演男優賞を獲得。(これはスクリューボール・コメディではないが)
名実ともにハリウッドの看板俳優となった彼だが、この路線の後継は、後にジェイムズ・スチュワートに譲った。
晩年は、「昼下がりの情事」などで、オードリー・ヘップバーンを相手に、老プレイボーイを嬉々として演じていた。
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