さて、信州ぶらり旅三日目。
乗鞍岳周辺で宿が取れませんでしたので、松本まで下りてきました。
駅前のビジネスホテルなら、電車の待ち時間で、予約から支払いまで、スマホ処理。
このあたりは便利になりました。
そして、朝も比較的ゆっくりで、最後の目的地・蓼科山に向かいます。
急ぐ旅ではないので、普通電車で茅野駅まで向かおうとしましたが、乗る電車を間違えてしまいました。
中央線各駅停車に乗るはずが、乗ってしまったのが、信濃大町駅に向かう大糸線。
気がついたのが、松本駅から二つ目の島内駅。
慌てて下りて、松本駅に戻り、乗り直し。
通常の旅行も、車よりは、電車にの乗る方が好きなので、時刻表は完全に把握して出かけるのですが、今回は、翌日の仕事を考えなくていい初めての旅行で、どうもどこかが緩んでいます。
乗った普通電車でちょっとびっくりしたのが、車内の中吊り広告が綺麗にないこと。
山手線ではこういうわけには行きません。
東京のようなラッシュアワーがないからなのか、スポンサーがいないからなのか。
でも、さっぱりしていて、僕はこちらの方が好きですね。
さて、ここで、およそ1時間のロス。
茅野駅に着くと、滑り込むように、アルピコ交通の、「蓼科高原ラウンドバス」が到着して、ダッシュで乗車。
これでまた乗り間違えだと致命的なので、おそるおそる運転手に聞いてみました。
「このバスは、蓼科登山口に行きますか?」
「行きます。待っていますので、すぐそこの窓口で、乗車券を買ってきてください。」
どうやら、SUICA は、使えない模様。
まずは、冷や汗を拭って、バスで揺られること90分。
途中、北八ヶ岳ロープウェイのターミナルで、パンを3個購入。
そういえば、朝食抜きでした。でもこれは、せっかくですから蓼科山山頂で食べることにします。
バスが蓼科山入口に到着したのは、11時。
さてどうするか。
ここから山頂に登って、またここに下りてくるのがコースとしては無難なのですが、同じコースを往復するのでは面白くない。
せっかく車で来ていないのだから、どうしても、そのまま反対側に降りて、佐久平に回って、長野新幹線で帰りたいと考えたのですが、その明確なコースが、前夜に検索しきれませんでした。
まあ、後はいきあたりばったりでいくか。
幸い、山頂にはヒュッテも、山荘もあるので、そんな情報もゲットできるに違いない。
というわけで、標高2530mの蓼科山を登り始めました。
しかし、この山頂2531mの山へ登ることを少々なめていました。
前日に登った、自己記録最高到達点の富士見岳が、2813m。
この蓼科山は、それよりも300m近くも低い。
これは楽勝。
そう思っていましたが、そんなはずがなかった。
考えてみれば、それはすぐにわかることでした。
だって、昨日の富士見岳は、出発地点の畳平がすでに標高2702m。
つまり、山登りとは行っても、畳平からは、100mちょっとしか登っていないわけです。
しかし、今日の山登りの出発点「蓼科山登山口」の標高はどれくらいだったか。
写真を見ての通りです。
平均標高2110m。
山頂との標高差は、421m。
つまり、昨日の山登りの、およそ4倍の標高差を登るわけです。
これは、今年60歳のロートルにとって、きつくないわけがない。
そんな単純計算も見落として挑んだ蓼科山。
案の定、半分まで登らないうちに、もう青息吐息です。
後ろから登ってくる健脚たちには、どうぞどうぞとばかりに道を譲ること二度三度。
さすがに、オバサンたちのパーティには追いつきましたが、先を歩いたのが大失敗。
ここで、一度抜いたオバサンたちに、抜き返されたらいくらなんでも恥ずかしいという見栄がむくむくともたげます。
オバサンたちと入っても、山ガールを侮るべからず。
彼女たちは、ゆっくりとはいえ、ペースを落とさずに淡々と登ってきます。
山オヤジとしては、その差がなかなか開かずあせりまくり。
無理にペースを上げてしまい、山頂に着く頃には、完全に虫の息。
やっとの思いでたどりついた山頂で、おもわず天を仰いでしまいました。
「よっしゃー! 着いたぞ!」
蓼科山の山頂は、広い岩場です。
残念ながら、その岩場が広すぎで、360度パノラマの映像はゲットできません。
その岩場の、ほぼ真ん中にある簡素なお社が、「蓼科神社」。
山頂で一緒になった方が教えてくれました。
「ちょっと前まで、ここにいた小学生たちが、オコジョを見たと騒いでいたよ。」
オコジョというのは、こんなヤツです。
確かに、こんなヤツが、岩場からひょっこりと顔を出していたら大騒ぎでしょうね。
どこかにいないものかと、カメラを回してみましたが、小学生の前には現れるオコジョも、不届き者の爺さんの前には現れてくれませんでした。
さて、山頂のヒュッテでランチ。
先程、購入したパンに、ヒュッテのコーヒーをいっぱい頂きました。
質素なランチでしたが、これがうまいのなんの。
もちろん、山頂では貴重な水で入れていただいたコーヒーも格別。
しばし、時間がたつのも忘れておりました。
びっくりしたのは、このヒュッテを守っているオバサン。
このヒュッテで使う食料は、歩荷を背負って、下の町から、自分で運んでくるんだとか。
いい大人の僕が、ヒイヒイ言って登ってくるこの山道をです。
これには、恐れ入りました。
燃料など重量危険物は、村の予算で、ヘリが出るのだそうです。
それも、テーブルや椅子を片付けたこのスペースに、上からピンポイントで降ろすのだそうです。
ちょっとそれもみてみたい気がしました。
そして、そうこうしているうちに山の天気は目まぐるしく変わります。
ここにいた小一時間で、雨から霧、靄って、晴れて、また雨。
そんな調子です。
さて、このヒュッテの元気なオバサンに、蓼科牧場まで下りるコースはあるか確認しました。
彼女いわく、
「将軍平の山荘まで下りたら、七合目登山口目指して下りて。
そして、そこから蓼科牧場ゴンドラリフトまで、15分くらい。
それに乗って下まで下りれば、蓼科牧場。」
よっしゃ。
ゴールが見えたところで、ヒュッテを出発。
雨もちょうど上がったタイミングでした。
山頂では、さすがにスマホも役に立たず、バスの時間も確認できなかったので、ピッチを上げての下山。
なんとか、営業時間内に、ゴンドラに乗り込むことができました。
しかし、蓼科牧場に到着した時には、すでに最終バスは出発した後。
バス停あたりでウロウロしていると、観光センターの人が見兼ねて出てきて、タクシーを呼んでくれました。
ありがたや。
しかし、無職の貧乏老人には、痛い散財でした。
立科の町役場まで下りてくれば、まだバスは何本か残っています。
早速、スマホで帰りの便を検索。
最寄りのしなの鉄道線・大屋駅に到着。
そして、終点・軽井沢まで。
暗くなる前に、なんとか、長野新幹線に乗り込むことができました。
さて、2泊3日の信州の旅。
このブログの冒頭で、電車乗り間違えのエピソードは紹介しましたが、今回は我ながらかなりドジが目立った旅でした。
僕のひとり旅のポリシー。
「旅の前は、予定を立てることを楽しみ、旅の途中は、予定通りにいかないことを楽しむ。」
つまり基本は、行き当たりばったり。
あまり綿密にスケジュールを立て過ぎて、時間に追われることはよしとせず。
なので、誰かと一緒に旅をするということは、ほぼ無理。
こんな調子で、旅を付き合わされたら、相手もたまったものではありませんので。
今回の旅も、チョンボは、電車の乗り間違いだけではありませんでしたね。
松本電鉄との乗り継ぎのミスで、松本駅の改札を通れなかったり。
バスの乗り場を間違えたり。
山頂ヒュッテでは、ポットを忘れて、下まで届けてもらったり。
松本のビジネス・ホテルからは、充電器の忘れ物の連絡をもらったり。
細かいドジはさらに数知れず。
正直もうして、散々でした。
30年務めた会社を退職して、気が抜けたか。
この1ヶ月以内には、およそ10年ぶりの海外旅行も予定しています。
これは、心してかからないと、帰ってこれない恐れあり。
定年退職とは言っても、僕の場合、悠々自適の老後が待っているわけではありません。
第二の人生も、きちんと仕事はしていきます。
今は、有休消化期間中ということで、少々解放感に浸っている感もありますが、そういつまでも、ゆるりゆるりとはしていられません。
頭を真っ白にするつもりで出た旅でしたが、終わってみれば、おもわず気の引き締め直し。
そんな、のんきに過ごせる人生が待っているわけでもなさそうです。
では、蓼科の山から最後に一句。
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