時間に追われて、せかせかと生きてきた会社員生活。
定年退職をして、およそ1ヶ月。
悠々自適な老後を送れる身分ではありませんが、自分のペースでは生きてゆきたい。
そうは思っていますが、体に染み込んだ今までの暮らしのリズムがなかなか抜けなくて苦笑い。
かねてより念願だったブータンを旅してきましたが、旅行中ずっと一緒だったガイドさんには、いつもこう言われました。
「ゆっくり。ゆっくり。時間はたくさんありますから。」
限られた時間の中で、ブータンを、できる限り味わいたいという旅行者の欲が、どこかで滲み出ていたんでしょうね。
限られた人生。のんびりはしていられない。
まだそんな焦りが、どこかに残っています。
「ときをためる暮らし」
この本の主人公つばた英子さんと、夫しゅういちさんの暮らしのモットーがこれ。
前回読んだお二人の本です。
お二人の暮らしを綴ったエッセーは、これが2冊目。
キッチンガーデンで、季節の果物や野菜を育て、できることはすべて自分たちでやる。
畑仕事、料理、編み物。
すべては、みんな自分たちのペース。
焦ってやっても、ゆっくりやっても、結局一生でできることなんて、そう変わりはしない。
「暮らし」そのものを楽しめれば、人生はそれで上等。
これは、しゅういちさんの口癖。
長い老後の入り口で、まだバタバタとしている、今の自分には、なんとも染み入る本でした。
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