久しぶりに、川越市立図書館に寄ってきました。
探しに行ったのはこの本。
目指す本ドンピシャリがあったので、借りてきました。
溝口健二の映画を見た流れで、「青空文庫」を探したら、彼の書いた、映画に関する短文があるのを見つけたんですね。
「日本趣味映画」というタイトルでしたが、これが書かれたのが、1929年でした。
ちょうど溝口が、「日本橋」という、泉鏡花原作の小説を映画化しようとしていた頃のエッセイで、中身でもこれについて触れています。
調べたら、この頃の溝口作品のプリントは、ほぼ残っていないとのこと。
(1956年製作の市川崑作品は現存)
仕方がないので、泉鏡花の原作小説の方を読み始めました。
いわゆる下町情話物で、この鏡花の世界のビジュアル・イメージが頭にあると、話も入りやすくなると思い、読書は一時中断して画像データを探してみたところ、ヒットした人物が、小村雪岱という人。これで、「コムラセッタイ」と読みます。
この人は、大正から昭和初期に活躍した日本画家です。
この人は、絵画だけでなく、木版画や、舞台デザイン、本の挿絵から装丁、着物のデザインに至るまで、広い分野で才能を発揮した、マルチ・メディア・デザイナーとでもいうべき人。
泉鏡花の「日本橋」の装丁もこの人が手がけていました。
浮世絵テイストの彼の作品。
その、ノスタルジックではありながら、どこかモダン・ポップの香りもする作風に一目惚れしました。
そこで、この人の作品集はないものかと、Amazon を検索しましたが、やはり美術書となりますと、お値段もそこそこ。
とても、貧乏百姓には手が出るものではありませんでしたので、図書館に寄ったというわけです。
持ち帰った本は、もちろんすぐに全ページ・スキャン。
電子書籍にしてから、iPad に放り込み、しっかりと堪能させていただきました。
ロートレックも、彼の本業の絵画よりも、よりキャッチイでポップにデザインされた「ムーラン・ルージュ」のポスターの方が好きなのですが、小村雪岱も同じ。
ラフでシンプルな挿絵や木版画の方が、個人的にはお気に入りです。
大ヒットしたアニメ「鬼滅の刃」も、舞台は大正時代でしたが、こちらはホンマものの、大衆文化が花開いた時代のコテコテの大正ロマン作品。
やはり、爺さんには、こちらの方が肌が合います。
そうそう、この小村雪岱の出身は、なんと川越でした。
僕も、川越在住の百姓です。
これも何かのご縁でしょうか。
お気に入りの作品でも見繕って、ポスターにして、お客さんを迎える玄関にでも貼っておくことにいたします。
これが、本当の小村セッタイ。
コメント