さて、昭和59年です。
昭和50年代もいよいよ最後の年。
勤めていた会社が倒産してしまったので、この年はとりあえず実家の本屋を手伝っていましたね。
小さくても、一応株式会社でしたので、小遣い程度の給料はもらいました。
それに、肩身は狭いながらも、食事はさせてもらいましたので、またモラトリアムに戻った感じです。
友人たちからは誘いの電話もありましたが、派手に遊べる身分ではないことは自覚していたので、この時期は自粛して、せっせと読書に励んでいました。
もちろん、読んでいたのはお店の商品ですから、お金はかかりません。
人生で一番本を読んだのが、やはりこの時期だったと思います。
当時の本屋は、東京販売という本の問屋から商品を仕入れます。
近くにその支社がありましたので、時には直接そこに仕入れに行くこともありました。
そこには父親の代わりに行くことも度々あって、そんな時は、もっぱら「自分が読みたい本」ばかりを仕入れて帰ってきました。
本は、店頭に置いておいて、売れなければ返品することが可能です。
そして、売れなければ、どんどん新しいものと入れ替えが効くというありがたい商品です。
ですから、自分の趣味である映画や音楽のマニアックな本は、店頭に並べたら、すぐに自分の部屋に持っていって読書。
もちろん、付箋やメモ書きは出来ませんし、変な読みグセやシミも付けられませんので、そこは細心の注意を払います。
ですから、気に入ったフレーズがあると、読書ノートに、まめに書き出していましたね。
今でもその時のメモ帳が残っていますが、結構びっしりと埋まっています。
読み返してみると、自分の趣味以外の本でも、あの当時のベストセラーや、苦手な理数系や経済的の本にまで果敢にトライしているので、「勉強」する意思があったことは伺えます。
おそらく、この年に読破した本の量は、大学の5年間で読んだ本の量よりも多かったはずです。
インターネットもSNSも、まだない時代のことです
ある意味では、世の中と繋がる唯一のパイプが読書くらいのつもりでした。
よく考えると、この時の自分の状況が、今の自分と結構似ています。
まだサラリーマンは続けられたのにもかかわらず、農業をやりたくて、60歳をもって定年退職させてもらった身です。
まだ年金をもらえる年齢ではないので、贅沢などできないというのが、まずあの頃と同じ。
この騒動が終わるまでは、大好きな旅行にも行かず、カラオケも絶って、畑作業以外は、ひたすら図書館で読書しようと決めたのも同じです。
そして、そんな自粛生活でも、不思議とストレスはないというのもまたあの頃と同じ。
結局この年は、年末から、知り合いに声をかけられて、運送会社でアルバイトを始めることになります。
さて、音楽の思い出を中心に、カレンダーと睨めっこしながら、世の中の出来事とも絡めて、自分の記憶をたどりながら、一年ずつを振り返ることができましたが、この後はちょっと自信がありません。
この後で、勤め出した運送会社が再び倒産という不幸はありましたが、その後就職した会社では、とりあえず定年まで勤めることが出来ました
もちろん、いろいろな出来事はありましたが、不思議なもので、学生時代のように、この後の人生を一年ごとに明確に思い出すのはちょっと無理な気がします。
カラオケで、今でも歌える歌謡曲はいったいどれくらいあるのかという興味から始めたこのトライ。
それを年別で拾っていくことで、ついでにその年ごとの自分の人生とリンクさせて、思い出せるまま、好きなように書いていたら、いろんなことが時系列で整理されてきて、思わず楽しんでしまいました。
わかっていることは、この後の社会人としての30年では、カラオケで歌える曲も激減してくるだろうということです。
去年の紅白歌合戦は、久しぶりに録画したものを見てみましたが、知っていた曲のほとんどは、過去のヒット曲。
去年ヒットした曲で、聴き覚えのある曲は皆無でした。
学生の頃は、決して覚えようとしたわけでもないのに、結構歌える曲も多かったことを考えると、やはり人間は、年齢を重ねると共に、新しい曲に対応するという感性は劣化していくものだとつくづく思います。
老人は、ともすると「あの頃の曲は良かった」などというノスタルジックに走りがちです。
しかし、実際今巷で流行っている「歌謡曲」が、昔の歌に比べて劣っているなどということはないと考えるのが自然。
それが証拠に、僕が若い頃も、当時の大人たちはみんなそう言っていましたね。
要するに、それは聴いているこちら側の感性が、若い頃の音楽体験でフィックスしてしまっているということ。
ですから、今の曲を聴いている若者たちが、いずれ老人になった時には、同じことを言っているのだと思います。
結論。
このカラオケ道楽を続けていく上では、こちらの老化現象を防ぐ意味でも、たまには意識的に新しい曲を聴いて、自分のカラオケ・レパートリーに加えて行く努力くらいはした方が良さそうです。
ですから、これからは、自分の愛唱曲にばかりこだわるのではなく、頑張ってAKB48やあいみょんも聴いていくことにいたしましょう。
「年寄りの冷や水」上等。
そんなわけで、この年のヒット曲で、今でも歌えた曲は以下の通り。
Tonight (佐野元春)
Complication Shakedown (佐野元春)
New Age (佐野元春)
Visitors (佐野元春)
時間の国のアリス(松田聖子)
ピンクのモーツァルト(松田聖子)
飾りじゃないのよ涙は(中森明菜)
星屑のステージ(チェッカーズ)
つぐない(テレサ・テン)
メイン・テーマ(薬師丸ひろ子)
渚のハイカラ人魚(小泉今日子)
モニカ(吉川晃司)
恋人達のペイヴメント(アルフィー)
夢伝説(スターダスト・レビュー)
もしかしてPart2 (小林幸子&美樹克彦)
全48曲
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