映画「空飛ぶ生首」1960年アメリカ
Amazon プライムで見つけました。
B級ホラー映画は、決して嫌いではありませんが、これはB級にも届かないC級ホラーということになりますね。
お金がかかっていようといまいと、ホラー映画なのですから、怖ければ何も文句は言いませんが、恐怖演出があまりにも雑で、ギャグと紙一重。
原題は、”Tormented”ですから、まあ「悩まされた」くらいの意味ですが、これに「空飛ぶ生首」という邦題をつけたのは、明らかに客寄せの魂胆が見え見えでニンマリ。
実際に映画では、生首は飛ぶことはなく、空中静止状態で現れ、主人公に簡単な髪を掴まれ、タオルに包まれてしまいます。
生首の前に、手首だけが現れるシーンもありましたが恐怖というよりも、むしろギャグ・テイスト。
海岸を歩いていると、足跡だけが追いかけてくるというシーンもありましたが、あれももう少し見せ方があったのではないかと思ってしまいます。
主人公がジャズピアニストという設定なので、音楽は軽快なジャズが使われていましたが、ホラー映画にジャズというのはあまり相性がいいとは思えません。
幽霊の登場シーンには、音響エフェクトとして、テルミンが使用されていましたが、日本の怪談映画ではそれほど違和感がないのですが、アメリカ映画で使われると、なんだか安っぽい演出に感じてしまいます。
監督のバート・I・ゴードンという人は、初めて知りましたが、B級ホラー専門ですね。
キャストも知っている俳優は一人もいませんでした。
ただ一つ、めっけものだったのは、冒頭でいきなり主人公に殺されて、幽霊になってしまう歌手バイを演じたジュリー・レディング。
本作では完全にマリリン・モンローを意識した役作りをしていましたが、実際はモンロー以上のナイスバディの持ち主。
ちょうどこの頃、同じくセックス・シンボルとして人気があったジェーン・マンスフィールドを彷彿させる巨大なバストで、フェロモン・プンプンなのは、スケベ親父にとってはかなり魅力的でした。
ちょっとググってみたら、案の定この時代の、セクシー・グラビアでは、頻繁にポーズを取っている女優ですね。
これだけのスタイルなのですから、首だけ浮いているのではちともったいなかったかも。
こういう低予算ホラー映画は、当時のアメリカでは、劇場ではなく、主にドライブ・イン・シアターでの上映用に製作されていました。
車に家族全員を乗せて映画を見るというスタイルでしたので、どうしても全世代対応型の作品になってしまい、お色気のあまりドギツイものはご法度。
家族全員で楽しめる映画ジャンルといえば、やはりホラーが鉄板。
なので、この時代のアメリカでは、この手の安物ホラーでもそこそこのニーズがあり、量産されていたようです。
本作は、どうしようもなくチープな映画ではありますが、A級作品にはない不思議な味わいがあることもまた事実。
なんのかんのと文句はいっても、なぜかフラリと見たくなってしまうオーラを放っているんですね。
なかなかのクセモノ映画です。
Amazon プライムのラインナップを見ると、この手のC級ホラーが、他にもたくさん揃っているようので、B級ホラー映画ファンとしては楽しみ。
時には、「箸休め」感覚で、こんな作品も楽しませてもらいます。
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