学生時代はけして、けして「歴史」が好きだというわけではありませんでしたが、なんだかんだで、手に取る本は、歴史の雑学系が多いんですね。
概ね、学校で教わった歴史が、実はこんなことなんだよという物言いに弱いようです。
「へえ、あれってああだったわけね」
歴史の雑学本をペラペラとめくって、そんな、トリビアを発見すると、けっこううれしくなります。
で、今回手にしたのはこれ。
「暗殺の日本史」
学校では教わらない史実の裏側、特に「暗殺」と「暗殺疑惑」にスポットを当てた一冊。
今の世の中では、当然ながら、暗殺者はテロリスト。
問答無用の犯罪人ですが、歴史の中では、ひとつの暗殺を成功させたことで、歴史の表舞台に躍り出た英傑が数多く存在します。
古くは、大化の改新の中大兄皇子。
近代では、日本の初代総理大臣・伊藤博文。
報復だ、エゴだのという低い次元ではなく、動乱の世に、高い志をもって、実行した「暗殺」には、歴史的に評価されてしまうものもあるわけですね。
時の権力者と、時代を変えようというものたちの間では、やはりどうしても、血なまぐさい「暗殺劇」は、おこってしまうわけです。
まさに、歴史上名をはせた人物たちは、その裏では、まさに犯罪スレスレのことをやってきている人がけっこう多いというのは史実です。
で、まあそんなこんなの「暗殺」に関するエピソードがちりばめられている中で、印象に残ったのが「西郷隆盛暗殺団」というやつ。
ご承知のとおり、「征韓論」でやぶれて下野した西郷隆盛は、故郷の薩摩に戻ります。
出来たばかりの明治新政府にとって、明治維新最大の戦力となった旧薩摩藩士族の動きは最も気になるところ。
政府は、薩摩藩出身者などをピックアップ。二十三名ほしどを密偵として鹿児島に送り込むんですね。
密偵の目的は、鹿児島県の情勢調査と私学校生徒と西郷の離間を図るというもの。
しかし、この密偵は、今日では、実は「西郷隆盛暗殺団」であった可能性が強いということになっているようです。
後に勃発するのが、西南の役。
西郷が挙兵した際、その挙兵の理由に、この密偵を掲げていることからしても、当時そう信じられていたことは間違いようです。
面白いのが、明治新政府が、この密偵団に送った暗号文。
「ボウズヲシサツセヨ」
ボウズというのは、もちろん西郷隆盛のことです。
そのボウズをシサツセヨとくるわけです。
では、このシサツをどう読むか。
「視察」?「刺殺」?
携帯もメールもない時代の話です。
密偵団が、この政府の指示を、はたしてどう解釈したかというのは、ちょっと興味がわくところです。