参議院選挙に、突如現れた政治異端集団「れいわ新選組」。
このグループを率いるのは、前参議院議員・山本太郎。
このグループの参議院選挙の戦い方が非常に面白いと思っています。
僕は、今ほとんどテレビというものを見ません。
ニュースソースは、すべてネット。
動画は、YouTube。
モリカケ問題、統計疑惑、年金問題と、国会中継をネットで追っかけていた流れで、ちょいちょいと見かけるようになった「れいわ新選組」。
4月に立ち上げたばかりの政治グループが、あれよあれよという間に、今回の参議院選挙に殴り込みをかけている図です。
現役で国会議員だったのは山本太郎だけ。
あとの候補者はすべて、政治未経験者。
こんなマイナーな素人政治集団が、どれだけ頑張ったところで、圧倒的な数の力で政治を牛耳っている安倍政権には太刀打ちできるわけがない。
最初はそう思って見ていたら、次第に彼らのパワーは、大衆を大きなうねりで巻き込み始めました。
おや、これは、ただ事ではないぞ。
少なくとも、ネットを追いかけている者にはそう思えました。
いやいや、でもちょっと待て。
お金も組織もある、自公政権が、選挙運動の露出で負けるわけがない。
彼らはどこで何してる?
まず、youtubeの仕組みとして、一度検索したもの関連の動画が、リストの上位になってくるということに気がつきました。
なるほど、ネットで「れいわ新選組」をフォローしていると、そのフォロワーたちには、彼らの上げた動画が次から次へと見られる仕組みになっているということか。
じゃあ、他の政党たちのたちの動画はどこにある?
そこで今度は「参議院選挙」というキーワードで検索すると、いましたいました。
自民、公明、立憲、国民、維新、共産、社民。
各党の代表が、ちゃんと選挙戦の第一声を伝える動画がアップされていました。
党首討論なんてのもちゃんとやってました。
しかし、こちらのキーワードで検索すると、今度は「れいわ新選組」の方が、影も形もない。
なるほどそういうことか。
じゃあ、テレビはどうなってる?
テレビとなれば、これは圧倒的な資金を持つ自民党が、有利なのは想像がつきます。
電通というプロ集団と組んだ自民党は、今の政党では、彼らにしかできないであろうコマーシャルキャンペーンを大々的に敢行。
政権のポチに成り下がっているテレ朝の報ステやNHKは、明らかに安倍政権忖度ニュース。
想像通りテレビでは断然自民党の独壇場でした。
ニュースを、テレビでしか見ないという人は、おそらく「れいわ新選組」の存在すら知らないのかもしれません。
テレビでは、「れいわ新選組」の山本太郎の絵は、正式な「政見放送」で見られるのみ。
「これ、おかしくないですか?」
これは、該当選挙演説での山本太郎がよく使う言葉。
まあ、そうもいいたくなります。
でも、力のバランスで考えれば、残念ながら、これはおかしくはない。
現状では受け止めねばならない現実です。
これはシノゴノいっても始まらない。
もちろんこのことは、織り込んで、選挙戦を戦わなければいけないのが「れいわ新選組」。
しかし、そのハンデがあるからこそ、彼らの戦いが今非常に面白いことになっている。
山本太郎という人、この参議院選、初めからそれを承知で喧嘩を売っています。
しかも、彼は決して無謀だとは思っていない。勝算の青写真をきちんと描いています。
どうも、ここがタダモノではない。
テレビの宣伝力に勝てないのなら、ネットで戦うしかない。
街頭演説でまわるドブ板選挙で、支持を集めるしかない。
初めからそのつもりです。
ゆえに、とにかくその熱量が半端じゃない。
youtube で見ている限りは、それは十分すぎるくらいに伝わってきます。
もちろん、街頭演説に集う人にもそれは確実に伝播している。
その場にいる人たちのヒートアップぶりも、ネット動画からはしっかりと伝わってきます。
演説者の元気だけはいいが、聴衆のリアクションがまるで伝わってこない既存政党の街頭演説の動画とは、まるで空気が違います。
安倍さんの演説などは、聴衆のリアクションの部分だけを、明らかに編集でカットしてましたよ。
そのカットされた部分で、聴衆が何を叫んでいたのかは、想像がつきますが。
でも、熱量や空気だけで勝てるほど、選挙は甘いものではない。
もちろん彼らの戦いは、その熱量だけがすべてではありません。
既存政党のような資金がないハンデを逆手に取った、驚くべき戦略を立ててこの選挙に臨んでいます。
ビックリしたのが、候補者。
もちろん、知名度のある候補者は一人も立てられない彼ら。
そこで、山本太郎が選んだ候補者たちがちょっとスゴイ。
山本太郎以外の九人すべて、現代日本の抱える問題の当事者たち。
これには、唸りました。
なるほど、この手があったかという感じです。
これはインパクトありまくり。
まずタマげたのが、比例代表特定枠の二人。
一人は、ふなごやすひこ氏。
この方は、全身麻痺の難病ALSの当事者。
そして、特定枠の二人目は、木村英子さん。
この方は、自立歩行のできない重度障害者。
しかし、このお二人とも介護の手を借りながらも、充実した社会生活を営んでいらっしゃる、山本太郎氏の言葉を拝借すれば、「ねたきり界のトップランナー」。
そして、はすいけ透氏。
この人は、元東京電力の社員、そして、北朝鮮に拉致された蓮池薫氏の実兄。
原発の現場にいた視線から、原発廃止を訴える原発問題のプロ。
三井よしふみ氏。
この人は、元セブンイレブンのオーナー。
コンビニフランチャイズという名の理不尽な労働搾取を、肌で経験した人。
いわば、ブラック企業による過酷な労働現場の当事者。つまり労働問題のプロ。
辻村ちひろ氏。
環境保護NGO職員。
自然との共生を訴え、外国に頼らない、日本一個分の暮らしを主張する、環境問題のプロ。
大西つねき氏。
元J.P.モルガン銀行の為替ディーラー。
経済格差を生み出す巨大な搾取構造を指摘する、経済のスペシャリスト。
渡辺てる子さん。
この方は、肩書きなし。シングル・マザーで、元派遣労働者。
女性にとって、母にとって、生きづらい世の中を、肌で経験されてきた方。
女性社会問題のプロ。
そして、今回のれいわ新撰組の候補者の中で、ただ一人、地位も名誉もあるという人が、やすとみ歩氏。
なんといっても、天下の東京大学の教授。
専門は、東洋文化研究。
この方が、この選挙で何をおっしゃっているか。
これは実にシンプル。
「子供を守ろう。」
これが、地球の歴史の中で、幾多の生物が累々と命を繋いでくることの出来た本能の原点というわけです。
そして、ご存知の通り、この方は、50歳にして、それまでのストレスと違和感から自分を解放して女性装をはじめた人。
最後は、山本太郎の地元・東京選挙区から立候補するのは、野原ヨシマサ氏。
この方は、沖縄創価学会の壮年部出身。
権力の甘い汁に浸かり、安保法制や共謀罪を止めなかった公明党を批判したら、学会を除名されたという方。
この野原氏が、米軍基地辺野古移転断固阻止の立場から、公明党の党首・山口なつお氏の選挙区東京で、ガチンコ対決をしようというわけです。
山本太郎と九人の仲間たち。みんなすべて、「本気の大人たち」。
恥ずかしながら、ちょっと頭をかすめてしまったのが、石ノ森章太郎の描いた漫画「サイボーグ009」
世界中のいろいろな人種の代表が選抜されて、それぞれの特異な能力を駆使して、世界の悪と戦う平和の戦士。
これが「サイボーグ009」でした。
ほらほら、そんなことを妄想していたら、安倍内閣が、ブラックゴースト団にかぶってきました。
「サイボーグ009」よりは、一名多い10人が、魍魎跋扈する永田町の要塞に殴り込み。
ちょっと、ワクワクさせてくれるじゃありませんか「れいわ新選組」
おーい、テレビでしかニュースを見ていない皆様!
ネットでは、エライことになっていますよ。
お見逃しなく!