起床3時30分。
着替えて待っていると牧場からの送迎車が、4時ちょうどに迎えにきました。
酪農ヘルパー研修の初日。早朝の部。
お世話になるのは、T牧場です。
こちらの農家は、いわゆる、つなぎ牛舎と言われるスタイル。
およそ50匹の牛の搾乳ができる規模です。
しかし、担当ヘルパーの方に聞けば、このあたりではまだ比較的小さい規模の農家とのこと。
シャッターを開けると、お尻を中央通路に向き合わせて、外側を向いて繋がれている牛がズラリ。
まずは、指示されたのは、散らかった牧草を牛たちの食べられる範囲まで寄せてやることです。
予備知識として聞いていたことがありました。
牛は、非常にデリケートな動物で、いつもと違う人の気配は、足音で察する。
なかには、それを嫌がって暴れたりする牛もいるので、注意するということ。
この一週間、ウシとは仲良くやっていきたいので、そこは慎重に配慮しました。
まずはとにかく、声を出して、彼らに近づくようにしました。
昨日の映画で見たあれです。
「べえべえべえ。」
二人の担当ヘルパーは、そんな声も出さず黙々と作業していてます。
しかし、こちらは、そうはいきません。
牛たちから見れば、本日が酪農体験初日の、怪しきよそ者。
ソロリソロリとトンボで、牧草を寄せてやると、彼らがその気配を察していることはすぐにわかります。
トンボを近づけるだけで、ちゃんと首を振って、避けようとしてくれます。
気配に敏感なことは、すぐにわかりました。
これを終えると、次はいよいよ搾乳。
レールにぶら下がったミルカーという自動搾乳機が、奥の部屋から流れてきます。
手順は以下の通り。
① まず、牛の4つの乳首をきれいにふいて殺菌。
② 手で搾乳して、生乳が正常か確認する。
(乳房炎になっていれば、澱になったものが混ざる)
③ ミルカーを牛の脇に引き込んで乳頭にセット。
④ 自動搾乳開始。
⑤ 終了したら、ミルカーが点滅。
⑥ ミルカーを乳頭から抜いて、残った乳を搾る。
⑦ 残していい生乳は、コップいっぱい程度。
⑧ ミルカーを乳首から抜いて消毒。
とまあ、こんな具合。
僕の知っている搾乳は、軽井沢の牧場で見たものでした。
それは、タライのようなものを牛の下に置いて、両手で乳首を握ってシコシコするタイプ。
いまはこんなに、様変わりしていました。
中には、搾乳ロボットを導入しているところもあるとのこと。
これだと、その中に牛を入れるだけで、後は全部自動的に、搾乳をしてくれるそうです。
それは、今回の研修日程にはありませんでしたが、ちょっと見てみたい気がしました。
乳首の殺菌は、消毒液につけた濡れタオルで行います。
特に乳頭を念入りにとの指導でした。
ミルカーを差し込む前の生乳のチェックは、手で行います。
人差し指で乳首の根本をきゅっと押さえて、生乳が戻らないようにしてから、残りの指で絞ると、勢いよく噴射。
これを7〜8回。
最初は、手に飛び散らせたりしてしまいますが、何回かやってみると、コツが掴めます。
飛び出した生乳に、澱が混ざっていないか目視チェック。
夢中になってやっていると、次第に牛たちの都合を考えなくなっていました。
そうです。
彼らはデリケートな動物。
不躾に近づいて作業をしていると、不快に思う牛は態度で表します。
本日鬼門の牛は29番に繋がれていた彼女。
乳首を殺菌タオルで拭こうとした瞬間、ブルブルと身悶えして「モオーッ」
慌てたこちらは、思わず尻餅。
おいおい、待て待て。
おれが、そんなに悪い奴に見えるか。
彼女に僕がどう見えたかは、定かではありませんが、後ろに目のないはずの彼が、足音か、もしくは匂いで、こちらを「よそ者」と認知したわけですから、さすがといえばさすが。
彼女の生乳チェックは、本担当ヘルパーさんに代わっていただきましたが、その時は神妙にしているから不思議なものです。
50匹弱の牛たちの搾乳で、およそ2時間30分。
搾乳された生乳は、パイプを通って、すべて温度管理のされているタンクへ。
−4°だそうです。
その後の作業。
まずは、牛糞を、牛たちの後方にほってある溝に落とし込みます。
画像載せますので、食事中の方はご勘弁。
さて、ここで登場するのが大型トレイラー。
干し草満載の車両を後ろに繋いでいます。
これが、牛舎の両サイドをゆっくりと走って、牛たちの前に、新しい食料を提供。
牧草と配合肥料の食事が終わると、牛たちは、みんな気持ちよさそうに、しゃがみ込んでおくつろぎモード。
そして、最後は、搾乳の終わったミルカーを清掃して、朝の作業は終了。
この後で、JAの生乳用のタンクローリーが来て、工場まで運んでいくとのこと。
ここまでがざっと、早朝の牛舎の作業の流れです。
この時点で、午前8時。
まさに、朝飯前の一仕事でした。
ここから、午後の2時までは、宿舎に戻って、朝食兼休憩。
その後、午後からの作業。
酪農農家の一日、後半戦になります。
お疲れ様。
ボケボケ写真ばかりでご容赦を。
では一休み!
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