大会16日目。
これは、うれしい、うれしい銅メダル。
女子カーリングでした。
恥ずかしながら、オリンピックの四年に一度しか見ることはなかった、このカーリングという競技。
韓国に負けてしまった準決勝は、残念でしたが、この3位決定戦は、生まれて初めて、Wikipedia でルールを勉強しつつ、ゲーム10エンドの最初から最後までの、2時間30分をテレビ観戦しました。
カーリングは、なかなか奥の深い、面白いスポーツですね。
日本女子チームの活躍で、今回改めてそれを実感いたしました。
何が面白いって、まずは選手たちのゲーム中の生声を聞きながら観戦できること。
こんなスポーツ中継って、今までなかったですよ。
あの「そだねー。」は、今回のオリンピックで一躍有名になりましたが、選手たちの作戦をリアルタイムで聞きながら、ゲームの成り行きを見守れるというのが大変面白い。
選手たちと一緒になって、思わず手に汗握ってしまいました。
オリンピック代表LS北見チームは、予選リーグを5勝4敗。
決勝リーグでも一敗しています。
これだけ負けていているのに、終わってみれば銅メダル。
これはちょっと凄いなと思いました。
彼女たちのあの明るさに、オリンピックの神様も、最後には、おもわず微笑まされてしまった。
表彰台に上がった彼女たちを見て、ちょっとそんな気がしていました。
カーリングは、氷上のチェスと言われるスポーツ。
オリンピックというと、鍛え上げだ技と、身体能力の高さを競うものだというイメージがありますが、カーリングにそれは求められません。
ゲームを読む力と、ショットの正確さと、チームワーク。
オリンピックには珍しい頭脳ゲームです。
オリンピック選手というと、ストイックに過酷なトレーニングをこなしてきた、別世界の人というイメージを抱きますが、彼女たちはなんともいたって普通。
どこにでもいそうな普通の女の子たちが、サークル活動の延長で、オリンピックの場にいる。
明らかに、他の種目とは違う、そんな通常のスポーツとは異質な空気感が、不思議と魅力的なんですね。
なんだか、町内運動会の応援をしているような気分にさせられます。
あの、第五エンド後の「もぐもぐタイム」も、最初は、ビックリしましたが、慣れてくると、ニヤリもの。
相手がミスをしても、けっして、ガッツポーズなどしない。
ゲーム途中でも、勝ち目がないと分かれば、握手を求めて「ギブアップ」(カーリングの用語では、コンシード)を告げる。
スポーツマンシップにのっとったフェアプレイの精神が、まず大前提にあるから、ゲームはお互いのセルフジャッジ。
だから、そもそも、カーリングには審判が不在。
そんな、お行儀の良さも、このカーリングというスポーツの大いなる魅力でしょう。
さて、3位決定戦。
対戦相手はイギリス。
ちなみに、イギリスは、カーリング発祥のこのスポーツの老舗国です。
ゲームは、お互い慎重すぎるくらいのディフェンシブな展開となりました。
ビックエンドになる派手なゲーム展開はなく、お互いが有利な後攻で、一点を取り合う我慢比べの攻防。
そして、ゲームは第9エンドで動きます。
日本が、ここで一点スチールして勝ち越し。
一点リードして、最終第10エンドを、迎えるという展開。
そして、日本チームをここまで、冷静な判断で引っ張ってきた藤澤五月の最終ショット。
これは、イメージの通りに決まらず、イギリスの最終ショットで逆転のチャンスを与えてしまいます。
ここで、イギリスの選択は2つ。
無難に1点を取りに行って同点にし、延長エンドに持ち込むか。
それとも2点を取りに行き、ここで一気に逆転勝利を決めるか。
イギリスのフォース(第四投者)であるミュアヘッドの選択は後者。
彼女は、この難度のショットなら、今大会で何本も決めていました。
運命のラストショット。
しかし、オリンピックの女神は、ここで日本チームに微笑みます。
微妙に狂ったショットは、最後に日本のストーンを、スルスルとハウスの中心へ。
日本の銅メダルが決まった瞬間です。
しかし、日本チームは、敗れたイギリスチームの前で、派手なガッツポーズはしません。
敗者に対する礼儀をきちんとわきまえていましたね。
喜びを噛み締めながら、静かに、仲間同士で抱き合っていました。
もちろん、この種目で日本の銅メダルははじめてのこと。
日本の普通の女子達が、このオリンピックの大舞台で、見事に、普通ではない偉業をやってのけた。
そういうことでしょうか?
「そだねー。」
LS北見のみんな。そして、リザーブとして、チームを陰で支えた本橋麻里選手、おめでとう。
感動させていただきました。
ところで、彼女たちの、あの靴の底って、どうなってるんだ?