東京オリンピック
はっきり申して、筋金入りのオリンピックオタクです。
お祭り好きというわけでもないのですが、オリンピックだけは別格。
大好物です。
そのスタートは、僕が中学生の時に開催された「札幌オリンピック」。
テレビにかじりついて見ていましたね。
スキージャンプ日の丸飛行隊の、表彰台独占は、本当に興奮しました。
オリンピック終了後に発売された、「朝日グラフ特集号」を手に入れて、メダリストの名前を全て暗記したりしていました。
女子滑降のマリテレーゼ・ナディヒ。
スピード・スケートのアルト・シェンク。
バイアスロンのマグナー・ソルベリなんて、渋いところまで、今でも覚えています。
ビデオ・デッキの時代になってからは、仕事が忙しくなり、オリンピックがろくに見られないので、まめに録画もしていました。
DVDライブラリーには、録画したオリンピック映像が、シドニー・オリンピックからは、全て揃っています。
オリンピック関係の、録画番組もかなりありますね。
そんなわけで、東京オリンピック2020も、かなり楽しみにしていました。
生きているうちに、二度もナマで、オリンピックが観れるというのは、なんとも幸せなこと。(1回目は5歳ですので、微かな記憶ですが)
日本の7月のクソ暑い時に、オリンピックなんてやるべきではないという、意見が多くあることも承知しています。
そもそも、アスリート・ファーストではない、アメリカ都合のビシネス・ファースト・オリンピックなんて、そもそもオリンピックの精神に反しているじゃないかと言う意見もごもっとも。
でもですよ。
なんのかんのと言っても、オリンピックくらい、ワクワクするイベントなんて、そうあるものではありません。
いい歳をして、「平和の祭典」と、浮かれるつもりもありませんが、四年に一度くらいは、世界中が本気でそんなことを考えるのもいいんじゃないかと本気で思っています。
オリンピック反対を唱える人は、基本的にペシミストでアマノジャク。
要するに、何事も斜に構えた素直ではない人たち。
もしくは、ご自分が不幸で、ストレスが溜まっている人。
だから、世の中が、浮かれ始めると、文句を言いたくなる。
正直言って、そんなふうに思っていました。
一言で言えば、「野暮な事言うなよ」ということでしょうか。
「そんなあんたも、いざ始まれば、メダリストに拍手送るでしょ」ってね。
いろいろな問題はあることは承知です。
でも、それはそれ。
それでも、オリンピックはオリンピックです。
そんな問題を抱えつつも、四年に一度は、ちゃんと盛り上がりたいというのが偽らざる本音でした。
そんなわけで、去年定年を迎えましたので、今回のオリンピックは、開催地のナマの空気を感じながら、存分に楽しめると楽しみにしていました。
が、しかしです。
降って沸いたような今回の新型コロナウイルス騒動。
もう今では、かなりの人が「Covid-19」と言っていますから、それに倣いますが、それがここまで、我々の生活に黒い影を落とすようになると、ちょっと話は違ってきます。
もちろん、皆さんご承知のように、今夏に予定されていた東京大会は、いまのところ、2021年への延期が正式決定しています。
しかし、どうやら、それどころではない現実が、今は日本中に広がっています。
僕のところにも、まだまだいろいろな方の悲鳴は聞こえてきます。
こんな状況で、来年のオリンピックを無理やり行えば、きっとしこりだけが残る。
当たり前に、そう思えてきました。
おそらく、今まで、オリンピックを純粋に楽しみにしていた人たちも含めて、国民の多くがそう思い始めているということも、肌で感じます。
だんだんと日本中を覆いつつあるこの空気の中で、それでも、まだオリンピックをやるんだと言い続けている人はいます。
安倍政権と、小池都知事と、電通あたりでしょうか。
だとすれば、その理由は、やはり透けて見えて来てしまいます。
政治家のお二人は、やはり自分の権力の維持に利用したいと言うスケベ根性。
そして、電通は、やはりこのオリンピックで手に入る、莫大な広告収入でしょうか。
「アスリート・ファースト」などといいながら、最優先にあるのは、やはり既得権の確保と、権力の維持。
要するに、自分たちの都合だけです。
そこに、国民の生命と安全を守るという責任感は感じられません。
そもそも、日本だけでなく世界中が、もはやそれどころじゃないですね。
これから、襲ってくる第二波、第三波に備えて、各国とも防衛策に余念がありません。
COVID-19 を、人類が完全に克服するためには、ワクチンの開発が絶対的に必要不可欠ですが、そんな話はまだまだ、どの国からも聞こえてきません。
たとえ今開発のめどが立ったとしても、それが大量生産されて、地球上の津々浦々に届くまでには、軽く一年以上はかかります。
安倍総理のおっしゃる「人類がウィルスに打ち勝った証としてのオリンピック」は、普通に考えてもまだまだ数年先のこと。
到底、この人の任期中に実現することは、不可能でしょう。
百姓ですから、畑作業をしながら、ここまで色々な専門家、ジャーナリストの方の意見を、YouTubeの動画で聞いてきました。(胸ポケットに入れたiPhoneからですから、画面は見れませんが)
もちろん、国会中継もずっと聞いてきました。
やはりどう考えても、今この状況で、オリンピックを強行することは、何よりもアスリートたちにとって不幸であるというのが個人的結論。
ということで、やっと腹が決まりました。
オリンピックオタクとしては、断腸の思いですが、僕も「今回の東京オリンピックは、一度白紙撤回」に一票を入れたいと思います。
オリンピックは、過去に3回中止になっていますが、その理由は全て戦争でした。
もはや今回の災害は、人類とウイルスとの全面戦争です。
ここまで、オリンピックを色々と準備してきた方には気の毒だと思いますが、今回のオリンピックは、悪戯に延期するのではなく、今キッパリと中止にすべき。
そして、中止するなら、なるべく早い方が、傷口は浅くて済みます。
ダラダラと、中途半端に決断を先延ばしするのことが、傷口をどんどん深くしていきます。
物事には、順序というものがあります。
今は、世界中のどの国も、COVID-19 と戦うことを優先するべき。
そして、これを克服した国のノウハウを、他国は素直に見習うべき。
この決着がついたなら、そこで改めて、次回オリンピックは仕切り直しです。
東京は、そこでまた改めて、名乗りを上げればいい。
何年先だっていいじゃないですか。
では、オリンピック中止の決断は、一体誰がしてくれるのか。
その鍵を握るのは、やはり、このタイミングで実施される東京都知事選挙でしょう。
投票日は、7月5日。
選挙戦は、これから火蓋を落とします。
立候補者は、本日現在で21名。
有力と思われる立候補者は、以下の五人。
現職の小池百合子氏(67)
日弁連・日本弁護士連合会の元会長の宇都宮健児氏(73)
日本維新の会が推薦する熊本県の元副知事、小野泰輔氏(46)
諸派で、自らが党首を務めるNHKから国民を守る党が推薦する立花孝志氏(52)
れいわ新選組の代表の山本太郎氏(45)
YouTubeで、立候補者たちの主張をざっくり聞きました。
オリンピックの開催についてのみ、各氏の主張を取り上げると、以下の通り。
下馬評圧倒的有利の小池百合子氏は、明確に、オリンピックは来年に実施するとおっしゃっています。
小野泰輔氏の主張は、2024年にスライド開催。
立花氏は、IOCに決めさせて、費用も負担してもらうという意見。
宇都宮氏の主張は、オリンピックは中止して、その費用は、ウイルス対策に回す。
山本太郎氏は、明確にオリンピック中止。
いずれにしても、東京都民のオリンピックへの関心度は、この都知事選挙の選挙結果に反映しそうです。
僕は埼玉県人ですから、選挙には参加できませんが、個人的には、小野氏の意見に同調。
もちろん、Covid-19 との闘いに決着がついていることが前提ですが、すでに出来上がっているインフラを使用しないのは、やはりもったいない。
次の大会は、すでにパリに決定していますが、ここはうまく先方と相談して、大会史上初めての共同開催というのもありかなと思いますよ。
ということで、東京オリンピック2020の行方を決定する意味で重要な、東京都知事選。
ここ最近の一連の騒動の中で、「民意」の力を、改めて実感した方も多いと思います。
自分たちの一票は、決して無力ではない。
政治は、時の権力者たちに、牛耳られるべきものではない。
そう思われた東京都民の皆さんが、できるだけ多く投票所に足を運び、それぞれの意見を投票用紙に込められるか。
本当の意味での、「民度」というのは、そこに現れるものだと思います。
さて、この夏に見られるはずだった東京オリンピック2020。
これを、COVID-19 に阻まれてしまったこのストレスをどうするか。
悶々としていたら、Amazon プライム のラインナップの中に、「東京オリンピック」を見つけました。
もちろん、これは1964年に開催された「東京オリンピック」の公式記録映画。
総監督は、市川崑。
マラソンの、アベベ・ビキラ。
体操のベラ・チャスラフスカ。
柔道のアントン・ヘーシンク。
はいはい、ちゃんと覚えていますよ。
体操の遠藤幸雄。
重量挙げの三宅兄弟。
東洋の魔女たち。
日本人選手たちも、活躍しました。
東京オリンピックの映像は、白黒のフィルムで見ることが多かったのですが、この映画は70mmのワイド画面。もちろん、カラー映像。
とても新鮮でした。
市川崑監督の演出は、当時記録か芸術かで論争を巻き起こしましたが、大ヒットしましたので、「民意」はきちんとこの作品を認めています。
頭の固いお偉いさんは、すっこんでろというお話し。
2時間49分の作品を見ながら、ふと頭をかすめたこと。
これが、無観客試合で、選手たちもソーシャル・ディスタンスをとり、審判も全員マスクでは、少なくとも芸術映画にはなりますまい。
「東京オリンピック2020」が、見られない鬱憤が、少しは晴れました。
まだ見ていない方は、是非どうぞ。